ビッグデータをめぐる背景
企業にとってのデータがなぜ"ビッグデータ"へと変貌しつつあるのか。その最大の要因は「世の中の変化の激しさ」だと梅田氏は指摘する。
「社会状況の変化、消費者のニーズの多様化、スマートフォンやソーシャルネットワークがドライブする情報伝播の速さ、それらに牽引されるようにして企業の意思決定のさらなる高速化が求められている」としながらも、企業の意思決定スピードは世の中の流れに「キャッチアップできていない」という。
「データに基づく意思決定のスピードはまだ十分とはいえない。ビジネスを伸ばすような正しい意思決定のサイクルがもっと速くまわるようにしないと世の中に追いつかない」(梅田氏)
梅田氏は、こうした流れが現在のビッグデータへの期待感につながっていると分析する。
では企業はビッグデータをいかに活用していくことを意識すべきなのか。
梅田氏は順に
- 社内データの多様性を増やす
- スタティック(静的)からダイナミック(動的)へ
- ソーシャルメディアなどが吐き出す外部のログ情報
が重要なポイントだとしている。
ビッグデータというととかくTwitterやFacebookなどソーシャルネットワーク上のストリーム系の情報に注意が行きがちだが、「むしろ社内でこれまでDWHに載せることなく捨ててきたようなデータをすべて拾うことのほうが重要」と語る。また、ビッグデータを活用する上では静から動への"リアルタイム性"を意識することが欠かせないとしている。
「月次から週次に、週次から日次に、そしてリアルタイムへと処理速度が変われば、意思決定のスピードは大きく変わる」(梅田氏)
これらの背景を踏まえた上で梅田氏は、マイクロソフトが提案するビッグデータの"現実解"は
- 大量のデータを蓄積する技術 … DWH
- 大量のデータを活用する技術 … BI
の2つが主軸となっていると定義する。
変化を捉えることで市場のニーズを先回りしたいというニーズは高い。だが現在、BIで解析しているデータは四季報レベルかせいぜい月次レベルで、リアルタイムには程遠いという企業は少なくない。データ分析の鮮度を高めるのにボトルネックとなっているのはふるいITシステム、とくにDWHであることが多い。だが多くの企業はDWH全面刷新というような大規模なリプレースには二の足を踏みがちだ。コストも大きな要因だが、新しい技術に全面的に移行してよいものかという不安も残る。
その不安をSQL Server 2012がどう解決するのか。以下、日本マイクロソフトの2人のエキスパートが行った紹介をもとに、DWHとBIについての同社のアプローチを紹介する。