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「情報化白書」ITレポート

今後3年間の経営課題と基盤技術の導入

「企業IT利活用動向調査」にみるIT化の現状[3]

11月に翔泳社より刊行された『情報化白書 2012』(一般財団法人日本情報経済社会推進協会編)は、IT業界の現状を俯瞰することを目的として、最新トピックスからITに関連した法制度などに至る広範な記事を掲載している。このコーナーでは、『情報化白書 2012』の編纂に合わせて行われた調査報告などからまとめたレポートを紹介していく。第1弾として、『情報化白書 2012』の記事から『「企業IT利活用動向調査」にみるIT化の現状』を4回にわたって掲載する。

今後3年間で重視する経営課題

 当初本調査は、企業のIT投資意向やそれにより解決する経営課題と効果などを調査するため、震災前の11年3月上旬から実施しており、震災前日までにすでに271社からの回答を得ていた。しかし、震災の発生を受けていったん調査を中断、その影響により企業の投資意欲なども激変したと判断し、震災の影響を尋ねる設問を追加するとともに、5月より調査を再開するに至った。なお、3月と5月の調査では調査対象企業は完全に異なる。

 有効回答数も、回答時点の状況もまったく異なるため、震災前後の調査結果を単純比較することはできないが、とりわけ興味深い結果として一例を挙げておく。

 「今後1 ~ 3年で重視する経営課題」を大企業の回答で比較すると、震災前には14位にすぎなかった「災害やシステムダウンへの対応(BCP/DR)」が1位に急上昇しており、やはり13位と順位が低かった「セキュリティ強化(個人情報保護)への対応」が3位へと同じく急上昇している(図表4)。

図表4:震災前後の「今後1~3年で重視する経営課題」優先順位の変化(大企業)
図表4:震災前後の「今後1~3年で重視する経営課題」優先順位の変化(大企業)

 また、「IFRS(国際会計基準)への対応」の順位は震災前には1位となっており、震災後も4位と比較的高かったものの、この状況が現在も持続しているかは疑問の余地がある。

 これまで日本政府はIFRSの適用時期を巡り「早ければ15年3月期にも大企業に強制適用する」可能性について12年中に判断するとしていたが、11年6月に自見庄三郎金融・郵政改革担当大臣が「15年3月期についての強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であってもその決定から5~7年程度の十分な準備期間の設定を行う」という考えを表明したことから、今後はIFRSへの対応を重視する企業の割合が減る可能性もある。

 しかしながら、グローバルに事業を展開する企業の多くは、国の政策とは関係なく、国際的に整合性のとれた会計基準への適合も視野に入れていることから、急激に低下するとは考えにくい。

 震災後に尋ねた「今後1~3年で重視する経営課題」への全体の回答をみると、「業務プロセスの効率化」が最も高いが、やはり「災害やシステムダウンへの対応(BCP/DR)」の割合も40.2%と高い(図表5)。

図表5:今後1~3年で重視する経営課題(全体)
図表5:今後1~3年で重視する経営課題(全体)

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基盤系技術の導入状況

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この記事の著者

大熊三恵子(オオクマ ミエコ)

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)総務部普及広報課 主任部員

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3704 2012/01/20 00:00

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