復興に向けて、ITエンジニアにできることとは?
最後に司会の鈴木氏が各パネリストに「ITエンジニアにできることは何か?」と問いかけた。
勝矢氏は、「ITというより人間同士の課題にはなるが、人間関係を形成するにあたって、どのようなコミュニケーションができるのか、そこでITに何ができるのかに興味がある」と述べた。「Facebookのような方法で人とつながる方法もひとつ。こうしたつながりを能動的な集団にしていくためにITで何ができるのか。それがどう全体とつながるのか。一部一部の情報を共通のプラットフォームに載せられるようなツールがITで可能になる、といったことに期待したい」(勝矢氏)。
クロサカ氏は、「ITエンジニアには矛盾を引き受けてもらいたい」と語る。その矛盾とは、復興にあたって、地域ごとや個人ごとに復興の視点やモチベーションが異なり、何を復興すればいいのか分からない状態になっているという矛盾だ。クロサカ氏は、「それでも各地域が何をしたいのか、何を作りたいのかといった情報を引き出せるコミュニケーション技術や、できないことをできないと伝える技術が必要。正確に情報を判断できる状況ではないのだから」と説明した。
藤澤氏は、物理的な世界を「土」、ITをはじめとする情報などの世界を「風」と表現し、「風の世界にいる中で、土の世界をどうデザインするか考えてほしい」と述べる。藤澤氏はIBMを例に挙げ、「ハードウェアからソフトウェアの会社に変革し、今では街をデザインするまでに至っている会社で、風の世界の手法で土をデザインしている。この風と土がどう合わさっていくかが、ITの可能性であり今後の課題だ」とした。
鈴木氏は、「3.11のような被害がいつ東京に起こるか分からない。ITエンジニアには、そういう意識でITの役目について考えてもらいたい」と述べ、ディスカッションを締めくくった。