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新しい日本型経営モデルとイノベーションの条件―俯瞰工学研究所 所長 松島克守氏インタビュー


停滞が続く日本経済。その打開策として「イノベーションの必要性」は声高に論じられてきたが、日本新生の起点となるような大きな動きには未だ至っていない。その原因はどこにあるのか。また、イノベーションを生み出す条件とは何か。俯瞰工学研究所 所長の松島克守氏に話をうかがった。

社会の「気分」が阻害する日本のイノベーション

俯瞰工学研究所 所長、東京大学 名誉教授
松島 克守氏
 俯瞰工学研究所 所長、東京大学 名誉教授 松島 克守氏

— 新興国が目覚しい発展を遂げ、米国のような先進国でもGoogleやApple のように新時代を切り拓く企業が多く登場しています。一方、日本は全体的にどこか元気がなく、活性化のためのイノベーションが語られつつも、現実的には難しい状況にあります。その原因はどこにあるとお考えでしょうか。

 おそらく誰もが感じていることだと思いますが、日本全体が萎縮し、後ろ向きになっている「気分」の影響は大きいでしょう。長引く不況や雇用不安、少子化などの将来の問題など、様々な要因があると思いますが、そこに日本人の美徳でもある「手堅さ」がネガティブに影響しているように思われます。不安が先走り、失敗に対して過剰に恐れてしまうわけです。とはいえ、社内外から「イノベーションが重要」と焚きつけられれば、動かざるをえません。

 それで勉強などをはじめるわけですが、どうしても理系の人は「イノベーション=技術革新」と考え、シュンペーターを信奉する経済系の人は「新結合=組み合わせこそイノベーション」と考えて固執しがちです。さらに、不連続が重要だとか、抜本的であるべきとか、大上段に構えてしまいます。米国企業の成功事例を見れば「世の中にインパクトを与えるものを考え、実行しなければならない」と身構えるでしょう。

 結果、イノベーションを堅苦しく考え、リスクばかり考えて萎縮してしまうというわけです。もともと企業自体も不安を抱えていますから、失敗の可能性もある挑戦など許されるはずがありません。そんな組織で誰が「やってみよう」と口に出せるでしょうか。当然、イノベーションなど生まれるわけがないのです。

 本来、イノベーションはたいてい「小さな気づき」が起点であることが多いものです。誰が言い出そうとも、無責任な”言い出しっぺ” でも構わない。有言実行でなくていいんです。どうやるべきか、どう責任を取るのか、論じ始めるから萎縮してしまうわけで。そうした様々な固定概念から脱却して発想することが、生真面目な日本企業と日本人のイノベーションへの第一歩といえるでしょう。

 もちろん、イノベーションを実現するためには土台となるプラットフォームが必要です。しかし日本には技術力も文化的な土壌もある。投資するお金も、十分に教育された人材も、1億2千万人もの市場もあるわけです。少子化を嘆いて失敗ばかりを意識し、希望を刈り取るよりも、現在持っているリソースを活かすことを考える方が建設的です。まずは日本全体が「恵まれたリソース」を見直し、気分をポジティブに立て直す必要があるでしょう。

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リーダーが取り組むべきはイノベーションを生む基盤づくり

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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