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施策につなげる「打ち手」としてのデータ分析とは? ブレインパッド草野社長語る

10月16日におこなわれた「IT Initiative Day 2012/Big Data & Business Analytics Special」でブレインパッドの草野 隆史社長が講演をおこなった。「ビッグデータ」という言葉が流通する以前から、データ分析支援を通じて数多くの顧客企業の課題解決に貢献してきた経験により、ビッグデータを企業の戦略資産として活用する具体的な方法や事例が紹介された。

いきなりビッグデータではなく、データ分析を始めることが大事

株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野隆史氏
株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野隆史氏

 インターネットの普及は、非対面コミュニケーションの増加、生産側主導から生活者主導への転換などをもたらし、市場環境の変化が急加速している。そこで「企業におけるデータ分析の必要性が高まっていく」と判断した草野隆史氏は2004年「データマイニング&最適化」に特化した企業、ブレインパッドを立ち上げた。同社では具体的には大きく、3つの事業を行っている。

 まず「アナリティクス事業」は、企業の蓄積データの分析業務を受託するものだ。そこで用いられている分析技術を使ったネットサービスを提供しているのが「ASP関連事業」。3つめの「ソリューション事業」は、CRM&分析ソフトの販売やシステム構築になる。

 現在、ブレインパッドの顧客は、外食、金融、EC・通販・小売、広告代理、旅行・運輸、通信・メディアの各業界の大手が中心だ。草野氏は創業時「大手は分析を自前で行っているだろうから、中堅企業が顧客ターゲット」と想定したが、意外に大手もなかなか手が回っていないことが分かった。そこで「現在はデータ活用に課題を持つ、各業界の大手企業ともお付き合いをし、貴重な経験をさせていただいている」(草野氏)。

 いわゆる「ビッグデータ」市場の成長ということでいえば、やはり米国が先行しており、今後5年で約10倍になるとされている。すでに成功事例も数多くあり、たとえば米国大手スーパーマーケットのTARGETでは、顧客の購買履歴から女性客の妊娠と出産予定日まで推定し、タイミングに合わせて関連商品のクーポン券を送るなどの施策を実行している。そのほかにも様々なシチュエーションに合わせたきめ細かい対応を可能にするデータ分析を行い、業績をアップさせている。

 一方、日本でも「ビッグデータ」に関する報道、イベント、検索などが急増しており、関心が高まっていることが実感できる。しかし今後5年の市場規模は、米国の10倍に対し、日本は3倍と予測されている。実際、2012年にリクルートが実施したアンケート調査では、約7割の企業が「ビッグデータ分析の要望無し」と回答している。

 さらに実際に活用されているデータは、顧客属性データ、購買履歴データ等の構造化データが大半を占めている。今後分析に活用したいデータについても、引き続き構造化データへのニーズが圧倒的に高く、ビッグデータの代表格である非構造化データへの関心が薄い。

 そこで草野氏は「当面、ビッグデータを蓄積している、あるいは蓄積できる日本の企業は限定される」と見ている。また、多くの企業において、従来の構造化された社内データの活用もままならない中、データの量と種類の増加や発生速度・更新頻度の向上で、その状況が改善する事はない。

 実際、ペタ単位のデータ蓄積環境への投資から十分なリターンを引き出すのは、難度の高い仕事だ。日本の企業の場合、まずは、ビッグデータに限定せず、社内のデータ活用自体の取り組み方から見直す方が、ROIが高い。そこで草野氏は「大事なことは、ビッグデータではなく、実際の施策に結びつけるためにデータ分析を始めること」と強調する。

「打ち手」を見つけるための分析アプローチ
「打ち手」を見つけるための分析アプローチ

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現状は分析インフラ投資優先で、なかなか人材まで手が回らない

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この記事の著者

久原 秀夫(クハラ ヒデオ)

フリーランス/ITライター

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