2012年11月2日、翔泳社セミナールームで開催された「『ビジネスモデル・ジェネレーション』を講義+演習で理解するワークショップ基礎編」では、20名の受講者が参加し、4時間にわたる実践的なワークショップが実施された。書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション』のビジネスモデル・キャンバスの使用方法や位置づけなどを、デザイン思考やイノベーション理論などの周辺知識とともに、翻訳者・コンサルタントの小山龍介氏が解説。この日は、企業で実践をするための基礎的な講義とワークショップの二本柱で、理論と実践という構成で進んだ。ワークショップの模様をレポートする。

2012年6月11日に実施された「ビズジェネカンファレンス2012」のカンファレンスレポート「経営視点のビジネスモデル・ジェネレーション」(PDF版)を、アンケートにお答え頂いた方全員にもれなくプレゼントいたします。今回のインタビューでも協力いただいたTimClark教授の講演録も収録しております。
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デザイン思考ツールとしてのビジネスモデル・キャンバス
『ビジネスモデル・ジェネレーション』を講義+演習で理解するワークショップ基礎編では、4時間で講義とワークショップを織り交ぜ、下記のようなスケジュールで実施された。

ワークショップは、講義パートである「デザイン思考ツールとしてのビジネスモデル・キャンバス」の講義からスタート。

まず、「ふたつの思考」「イノベーションのジレンマ」「チャンス・オペレーション」の解説をもとに、イノベーションの定義や、どのようにイノベーションを起こすかの解説が行われた。

小山氏によると、「Science寄りの論理思考」と「Art寄りのデザイン思考」のふたつの思考があり、イノベーションが起きるのはデザイン思考のほうであるという。というのも、上記、イノベーションのジレンマの図にあるように、イノベーションは不確実性の中で生まれるものであるからだ。不確実性の部分はScience、つまり論理思考では捉えられないのだ。

次に、小山氏が解説したのは、「チャンス・オペレーション」の話だ。チャンス・オペレーションとは、「偶然をオペレートする」こと。

小山氏によると、イノベーションを起こすには2種類の方法があり、ひとつはLogicalを少しずつRandomにつなげていき、イノベーションとするパターン。もうひとつは、逆にRandomを少しずつLogicalにつなげていき、イノベーションとする方法である。どちらにせよ、LogicalとRandomの中間がイノベーションであって、それを、ビジネスモデル・キャンバスを使って体験しようというのが今回のワークショップだ。



ではLogicalとRandomの中間のイノベーションとはどのようなものか。小山氏は上の3つの図を使い、説明を行った。これによると、イノベーションとなるアイディアは構造体の中にあるのでもなく(Logical)、構造体の外にあるのでもなく(Random)、構造それ自体を再構築するようなものだという。
つまり、イノベーションは構造を知り、アイディアをつなげて、再構築することで生まれるのだ。
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慶應義塾大学SFCデザイン思考研究会(ケイオウギジュクダイガクエスエフシーデザインシコウケンキュウカイ)
イノベーションツールの1つである「デザイン思考」の普及活動に取り組む。研究会が翻訳したスタンフォード大学d.school発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』は公開3日で2万件ダウンロード。イノベーション実践のためのデザイン思考ワークショップは常に満員で、企業向けのイノベーター育成プログラムも提供している。問題発見・問題解決を行うクリエイティブクラスに向けた、10年後の知識社会で活躍するための学習環境づく...
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