クラウド、それは最後のフロンティア!?
大きなミッションを成功させたNASA/JPLとAWSですが、両者とも「我々はまだクラウドの入り口に立ったばかり」というスタンスを取っています。逆に言えば、クラウドでできるようになることはまだまだ多いということになります。「まずはクラウドのインフラをいまよりも充実させることが重要」とソダーストーム氏。セキュリティやパフォーマンスの面でも改善の余地は大きいとしています。とくに重要だと指摘した点がディザスタリカバリについてでした。AWSは今年8月、"1GBが1円から"利用できるという格安ストレージサービス「Amazon Glacier」をリリースし、大きな話題を呼びましたがソダーストーム氏は「データをどれだけストアできるか、だけでなく、リストアをどれだけ迅速にできるかも重要。Glacierのようなサービスでもリストアのスピードを上げることはできるはず」と語っています。Glacierはアクセス頻度の低い、いわゆるアーカイブデータの保存に適していると言われるサービスですが、データをリストアするには平均で4時間程度かかるそうで、ソダーストーム氏は「決して速いとはいえない」と指摘、ディザスタリカバリは今後あらゆる企業で重要課題となるはずで、Glacierのようなストレージサービスの改善はもちろんのこと、関連サービスの拡充も期待したいとのことでした。
「近い将来、惑星探査機の現地オペレーションはロボットが自動で操作できるような環境にしたいと思っている。そのための基盤として、クラウドはさらに拡張していく必要がある」といかにもNASAのロボット工学者らしい展望を語ったシャムズ氏。セッションの最後を締めくくった「クラウドは1,000億のオブジェクトを1万年保存できる可能性を秘めている」というコメントに、なんとなく、米国の人気SFドラマ「Star Trek」シリーズの「宇宙、それは最後のフロンティア」という言葉を思い出してしまいました。ビッグバン以来、いまだ膨張を続けている宇宙と同じように、AWSというクラウドプラットフォームも最後のフロンティアとして、しばらくは終わることのない拡大の時代に入ったのかもしれません。