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FlyDataファウンダーの藤川さん、あらためてAWSクラウドのスゴさを語る


 2月2日(米国時間)、Amazon.comの2016年度第4四半期決算および2016年度通期決算が発表されましたが、同時にAmazonのクラウドサービスユニットであるAWS(Amazon Web Services)の決算も公開されました。2016年度第4四半期(10 - 12月)の売上は35億3600万ドルで、前年同期の24億500万ドルから実に47%増という、あいかわらずの驚異的な成長を続けています。もっともこの数字も、ウォールストリートのアナリストたちの予想額である36億ドルをやや下回ってしまったそうですが…。そして2016年度の年間売上は122億ドル、日本円に換算すると約1兆3700億円という、こちらもすごい数字を叩き出しています。最近はこうした数字にあまり驚かなくなりましたが、パブリッククラウドだけで年間1兆円を超える企業が出てくるなんて、それこそAWSが登場したばかりの10年前なら誰も想像できなかったと思います。

 筆者はここ数年、AWSを中心にクラウド業界を見てきましたが、競合であるMicrosoft AzureやGoogle Cloud Platformの急成長は高く評価されるべきであるものの、やはりクラウド、とりわけIaaSに限って言えばAWS以外の企業がトップの座につくことは当面ないと考えています。これは大手の調査会社のリサーチでも明らかで、たとえば米Canalysが発表した調査結果によれば、AWSのIaaS市場における現時点のシェアは33.8%と圧倒的で、あとに続くMicrosoft、Google、IBMの3社のシェアをすべて合わせても30.8%にとどまっています。少なくともあと数年は、AWSがクラウドの王者としての称号を他社に譲ることはないでしょう。

 パブリッククラウドという市場を作り出したパイオニアでありながら、10年以上に渡ってシェアトップの座をキープし続けているAWSの強さは何に起因するのでしょうか。その理由について、AWSのパートナー企業であり、Amazon Redshiftを事業の中心に据えたデータビジネスを展開する米FlyDataのファウンダー 藤川幸一さんへのインタビューから探ってみたいと思います。なお、本インタビューは2016年11月に米ラスベガスで開催されたAWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent 2016」会場内のソリューションセンター(出展社ブースが集まっている場所)に設けられたFlyDataの出展ブースで行いました。

米国シリコンバレーを本拠に、北米市場でデータビジネスを幅広く展開するFlyDataのファウンダーの藤川幸一さん。re:Invent 2016のFlyDataの出展ブースにて
米国シリコンバレーを本拠に、北米市場でデータビジネスを幅広く展開するFlyDataのファウンダーの藤川幸一さん。re:Invent 2016のFlyDataの出展ブースにて

―今回のre:Invent 2016を振り返って、藤川さんが「AWSらしい」と感じたポイントはどんなところでしょうか。

藤川さん: 大きく3つあります。ひとつはIaaSベンダとしての基盤の拡充がさらに進んで成熟してきたということ、2つめは攻めと守りのバランスのすばらしさ、とくに今回は攻めの部分が際立っていましたね。そして最後の3つめはBtoB、エンタープライズへのフォーカスがより強くなったという点です。

―じゃあ順番にご説明していただければ。まずは最初のIaaSベンダとしての…というところからお願いします。今回のre:Inventでは24ものサービスが発表されましたが、藤川さんはどのあたりにAWSの"成熟"を感じられたんでしょうか。

AWS re:Invent 2016では全部で24ものサービスアップデートが発表された。多すぎて追いかけるのがたいへんでした…
AWS re:Invent 2016では全部で24ものサービスアップデートが発表された。多すぎて追いかけるのがたいへんでした…

藤川さん: なんといっても「Amazon Athena」ですね。AthenaはではS3上の生データに対し、SQLクエリを直接投げてアドホックに実行できるんですが、これを本当にすごいサービスです。聞いたときはさすがAWSだと思いました。

―AthenaはPresto(オープンソースの高速クエリエンジン)を実装したマネージドサービスですよね。すでに似たようなサービスとして「Google BigQuery」があるわけですが、藤川さんがそこまでAthenaを高く評価する理由は?

藤川さんがAWSの
藤川さんがAWSの"成熟"を象徴するサービスと強調するAmazon Athena

藤川さん: たしかにPrestoベースですが、AWSは単にAthenaのフロントとしてPrestoを選んだだけで、重要なポイントはそこじゃない。BigQueryの対抗と見る向きもありますが、その比較自体にはあまり意味がないと思います。Athenaがすごいのは、AWSがもつ膨大なコンピューティングリソースを利用して、クエリを何千何万ものコアに自動で分散して並列実行できる点です。だから非常に高速に結果を返すことができる。S3の生データをETLで処理したり、別のデータベースに落とし込む必要もありません。ビッグデータアナリティクスのユーティリティとして考えると本当に良くできています。

―ユーザから見たらS3に向かってSQLクエリを投げたら、インタラクティブな感じでさくっと結果が返ってくる、みたいなイメージですが、実はバックエンドではAWSのコンピューティングパワーがフル稼働しているワケですか。データサービスとしてはたしかに革新的だと思うのですが、ご指摘の"成熟"の意味がよくわからないのですが。

藤川さん: Athenaは非常に汎用的なサービスです。AWSにはペタバイト級のデータを扱える汎用的なサービスとしてほかに「Amazon EMR(Elastic MapReduce)」と「Amazon Redshift」があるんですが、今回のAthenaのリリースで汎用向けのサービスがほぼ揃った感があります。成熟してきたというのはそういう意味ですね。

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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