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Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームはビッグデータ用データベースの「第4極」

 Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームは、内閣府が創設した「最先端研究開発支援プログラム」の一環として、東京大学と日立の共同プロジェクトで開発された超高速データベースエンジンに、高信頼・高性能な日立サーバおよび日立ストレージを組み合わせた製品だ。「非順序型実行原理*3」という新技術により、従来使い切れていなかったCPUリソースやディスクI/Oリソースを徹底的に活用することで、従来型のデータベースエンジンと比べ大幅なパフォーマンス向上を果たしたという。

 *3喜連川教授・合田特任准教授(国立大学法人 東京大学)が考案した原理

 2012年6月に登場したばかりの製品なのだが、特に大量データの分析用途においてスループット向上の恩恵を受けられるため、日立のビッグデータソリューションにおいて現在「一押し」の製品なのだという。

 でも、今さら新しいリレーショナルデータベース製品がぽんと出てきても、筆者のような疑り深い人間からしてみれば、何だかちょっと胡散臭く聞こえる。だって、ビッグデータ分析用のデータベースといえば、今はやりのDWHアプライアンスやインメモリデータベース、カラムストア型データベース辺りが定番。でも Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームは、これら3つの製品ジャンルのどれにも属さない、いわば「第4極」なのだという。

 うーん、本当だろうか……でも日立の方々は、この製品に絶対の自信を持っているよう。特に島田さんの思いは、相当熱いようだ。

 「10年前にBIブームが到来したとき、正直言って日立は商談で連戦連敗でした。でも今、その10年前に負けた相手のシステムを見てみるとガックリ来るぐらい遅い! これに比べれば、Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームはもう比べものにならないぐらい速い。これまで3分かかっていた処理が、1秒で返ってくる。今回のビッグデータでは、10年前のリベンジを果たしてやろうと思ってます」

 おお、熱い! 日立がビッグデータ界に放つリーサル・ウェポン! でも一方で、世間では今、Hadoopとかが大きく取りざたされてますよね。

 「サーバ何百台並べてHadoopで『どうだー!』って、確かに出来たときはかっこいいかもしれないけど、でも初めだけ! 考えてもみてくださいよ、それだけの数のサーバのお守りを続けるのが、どれほど大変なことか! もう、サーバの故障対応だけでいっぱいいっぱいですよ。全然かっこよくない!」

 ということは、この製品はHadoopのような並列分散処理方式ではないということ? ヒートアップする島田さんの代わりに、四ッ谷さんが答えてくれた。

 「 Hitachi Advanced Data Binder プラットフォームはそもそも、1台のサーバだけでどれだけ速くできるかを追及した製品です。ですからメンテナンス作業も非常にシンプルですし、チューニングも最小限で済むよう設計されていますから、高性能とともに低TCOも実現できるんです」

 なるほど、それは確かに画期的かもしれない。この辺りの詳しい技術的な話は別の記事に譲るとして、顧客からの注目度はどんなもんでしょう?

 「国産ベンダーである日立が今、全く新しいアーキテクチャで大量のデータを処理するデータベース製品を出したという1点だけでも、興味を持っていただけますね。それにビッグデータというキーワードが絡むことで、さらに注目が高まっています」(四ッ谷さん)

 日立ならではの「国産へのこだわり」が、ビッグデータの領域でも生きているということですね。

 「日立にとって大量データの分析は、何もビッグデータで始まったわけではないんです。これまで国産ベンダーとして、電力や交通といった大規模インフラの“実業”を長く手掛ける中でさんざんやってきたことですから。今はたまたまビッグデータというキーワードが出てきた中で、これまでやってきたことをあらためて整理して、ソリューションやサービスとして提供しているだけです。こうした技術やノウハウの蓄積は、日立が持つ強みだと思いますね」(四ッ谷さん)

 ありがとうございます。最後はマイスターにきれいにまとめていただきました。ビッグデータというと、何やら流行の舶来品というイメージもあるけど、実は日立のような国産ベンダーが昔から、脈々と技術を磨いてきたんですねえ、知りませんでした。まだまだ「ビッグデータ、もう飽きたあ!」なんて言ってる場合じゃないですね……反省。

みよ、この楽しそうに話す姿を!「ビッグデータ飽きた」なんていってはいけない

 さて、これまで日立の中の人にたくさんお話を伺ってきたので、次回は目線を変えて日立の外の人であるパートナー企業の方にお話を伺ってみようと思います。「おもてなしの国、日本」で作り続けている日立データベースのどこを気に入って使っているのか?次回もおもしろそうな話が聞けそうだ。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4479 2013/05/10 18:05

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