ビッグデータに火をつけて、そして消して
さて、データ・アナリティクス・マイスターについては何となく分かった(気がする)。では、島田さんと古和さんが所属する「ビッグデータソリューション部」とは、一体何をするところなのだろうか? いやもちろん、ビッグデータについて何かやるところだというのは大体想像が付くのだが、具体的にはどんなお仕事をされているのでしょうか、島田さん?
「マイスターが掘り起こしたビッグデータの案件を、実際に製品を使ってITに落とし込んでいくのが私たちの仕事です。ビッグデータ関連の製品といっても、データベースだけではなくてHadoopやストリーム基盤などさまざまなものがあるのですが、その中でも私と古和はデータベース周りのソリューションを担当しています」
なるほど。先ほど挙げた4つのフェーズのうちの、「実用化検証」と「システム導入」を主に担当しているわけですね。
「私はどちらかというと、『データベースを使ってこんなビッグデータソリューションが実現できますよ!』という具合に、マイスターと一緒にお客さまに夢を語って火を点ける役目ですかね。で古和の方はというと、どちらかというと火消し役(笑)」
ん、火消し役とは一体どういうことでしょう、古和さん?
「簡単な検証で効果が確認できた分析シナリオを、実際に製品を使って本格的に検証してみるのが私の主な役目です。夢を語るだけでなく、それを現実に落とし込んでいくわけです」
そうかそうか、そういう意味での火消し役なのか。そこで島田さんが横から、「火だけでなく、いろんなものを消しますよ」と横槍。
「島田さんそれ以上いったら・・・」(怖くなる古和さん)
この二人の会話から、相当の修羅場を潜り抜けてきたことが察せられますね……。でも逆に言えば、そこまで顧客先に深く入り込んでいるということ?
「夢を現実に変えるためには、本番データベースに極力近い環境で検証しないと説得力を持ちませんからね。そのためには、お客さまのデータの中身を理解できるよう、業務知識も勉強しなくてはいけません。大変ですけど、いろんな知識が増えて面白いですね」(古和さん)
顧客のデータベースの中身まで踏み込むとは、かなり突っ込んだことをされているんですね。業務システムのデータベースなんて、普通は絶対に門外不出だろうし。
「検証用のデータを提供いただくまでがかなり大変ですし、ようやく頂けたとしても、担当者の引継ぎを繰り返すうちに、お客さまも意外と中身を理解できてない場合があるんですよね。アプリケーションの画面で表示されているものと、データベースの中に収まっているデータの間にはギャップがありますから。それに、長い間つぎはぎしながら使ってきたデータベースやアプリケーションには、どうしても造りに無理があることも多いですね。なので、顧客企業のIT部門としては、われわれのビッグデータの提案を契機に、データベースやアプリケーションを一気に刷新したいという思いがあるところも少なくないようです」(島田さん)
なーるほど! 企業のIT部門がビッグデータに興味を持つ背景には、そういう思惑もあるわけか。
「そこで Hitachi Advanced Data Binder プラットフォーム*1を提案すると、日立が新しく開発したデータベース製品という目新しさも相まって、多くの方が興味を持ってくれます」(島田さん)
ん? ひょっとしてこれが、噂の「日立が『従来自社比約100倍*2の性能を持つ』と紹介している新データベース製品」なのか?
*1 内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース 時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者: 国立大学法人 東京大学 喜連川教授)の成果を利用
*2 従来製品との比較。解析系データベースに関する標準的なベンチマークを元に作成した、各種のデータ解析要求の実行性能を計測。データ解析要求の種類によって高速化率には差が見られるが、データベースにおいて特定の条件を満たす一定量のデータを絞り込んで解析を行うデータ解析要求を対象とした結果。