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不確実な時代の「戦略投資の意思決定」入門講座

リスクの伴う大型投資をいかに組織として意志決定するのか?大手企業の戦略投資の取組み

(第2回) 


前回は、なぜビジネスシミュレーションが必要なのか、そして、企業におけるどのような問題解決に役立つのかを説明しました。戦略投資の意思決定では、問題が実に山積みなのですが、今回はそのような問題の解決に、ビジネスシミュレーションを活用している企業の事例を3つ紹介します。それぞれの事例について、ビジネスシミュレーションを採用した目的と、どのように活用しているかを見てみましょう。

戦略投資を成功させる、企画担当者と意思決定者の「共通言語」と「一貫した評価」

戦略投資の意思決定は、組織的な取り組み

 この連載が掲載されているビズジェネでは、新規事業に関するコンテンツが実に豊富です。個人のスキルアップに大変役立つ、と思ってご覧になっている方も多いのではないかと思います。

 しかし、戦略投資の意思決定は、一部の個人がスキルアップしただけでは、なかなかうまく行かないのです。投資を企画する担当者と、その実行を許可する意思決定者が、目的を共有して納得感の高いコミュニケーションをすることが必要です。たとえば企画担当者が、新たな分析を活用して意思決定者に説明したとします。しかし、意思決定者がその分析を理解しなければ、意思決定者にとってその分析は単なるブラックボックスに過ぎず、全く役に立ちません。逆に、あいつは無駄な分析しやがって、相当ヒマなんだな、と思われてしまったりします。そんな事態を避けるためには、組織として戦略投資の意思決定に取り組むイメージを、最初から持つと良いと思います。

一貫しない評価は、何もしないよりも悪い

 組織として取り組むことは、意思決定者にも大きなメリットになります。「一貫しない投資評価は、何もしないよりも悪い(Inconsistent valuations are worse than none.)」というのは、戦略投資の意思決定を担当していたある製薬会社のCFO(最高財務責任者)の言葉です(注1)。

 たとえば、予算の枠が限られている場合(たいていそうだと思いますが)には、戦略投資を取捨選択しなければなりません。その際、戦略投資を評価検討する仕組みができておらず、案件ごとに長所短所の説明方法が異なっていると、案件を比較して意思決定することが難しくなってしまいます。そんなことなら、そもそも余計な分析をせずに、最初から自分に考えさせてもらいたい、という意味なのでしょう。

 (注1) 出所:How SmithKline Beecham Makes Better Resource-Allocation Decisions, Harvard Business Review, March-April 1998

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戦略投資は不慣れな事業の意志決定-社会インフラ企業の“説明する仕組みづくり”

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この記事の著者

小川 康(オガワ ヤスシ)

インテグラート株式会社代表取締役社長東京海上火災保険に勤務後、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授の研究センターに2年間勤務し、不確実な時代のビジネスプランニングを学ぶ。ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。インテグラートは、研究開発投資や新規事業投資、M&A等の戦略投資の計画立案と意思決定を支援するビジネスプランのシミュレーションソフトを開発・販売し、関連するコンサルティング・研修を提供している。著書に『...

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