1. RAC データベースのバックアップ
本章では、RAC データベースのバックアップについて説明します。 なお、RACデータベースにおいてバックアップすべきファイルと取得方法は、シングル・インスタンス環境と同じです。
バックアップすべきファイル
シングル・インスタンス環境と同様に、以下の3種類のファイルをバックアップします。
・データファイル
・制御ファイル
・SPFILE (サーバーパラメータファイル)
バックアップの取得方法
以下のいずれかの方法を用いて、ファイルをバックアップします。
・Oracle Recovery Manager(RMAN)を使用したバックアップ(オラクル社推奨)
・ストレージ機器の機能(NetApp SnapMirror や EMC Recovery Point 等)を使用したバックアップ
・Oracle Secure Backup 等を使用して外部ストレージへバックアップ
・cp等のOSコマンドを使用したバックアップ
ただし、ASMにファイルを配置している場合は、RMAN以外のバックアップ取得方法を原則的に使用できないことに注意してください。 弊社で最近手がけるほとんどのRAC構築案件でASMを使用していること、オラクル社が推奨するバックアップ取得方法であること、バックアップを支援する機能が充実していることなどを踏まえ、今回の記事ではRMANを使用した手順を紹介します。
RMANを使用してデータベースをバックアップする場合、あらかじめ以下の2つの設定を有効にしておくことをお勧めします。
・制御ファイルおよびSPFILE (サーバーパラメータファイル)の自動バックアップ機能の有効化
制御ファイルおよびSPFILE(サーバーパラメータファイル)の自動バックアップ機能を有効にしておくことをお勧めします。設定が有効な場合、データベースのバックアップ実行時やデータベースの構造が変更された場合に、制御ファイルと SPFILE が自動でバックアップされます。 以下のコマンドで、設定を有効にできます。
Enterprise Managerからも設定できます。
・増分バックアップのブロック・チェンジ・トラッキング機能の有効化(Enterprise Editionのみ)
RMANで取得できる増分バックアップの取得時間を短縮できます。DB_CREATE_FILE_DEST初期化パラメータを設定した上で、以下のALTER文を実行することで有効になります。
こちらも、Enterprise Managerから設定可能です。
以下、上記2つの設定が有効になっているものとして説明を進めます。
なお、11g R2からのアーキテクチャが変更により、スナップショット制御ファイルの出力先を全ノードからアクセスできるASM や共有ディスク上にする必要があります。 ローカルディスク等他ノードからアクセスできない箇所に配置されている場合、バックアップ時にエラーが発生する可能性があるのため、注意が必要です (デフォルト設定は "$ORACLE_HOME/dbs/snapcf_<host名>.f" になっています)。
※エラーサンプル
現在のスナップショット制御ファイルの出力先の設定は、RMANのSHOW SNAPSHOT CONTROLFILE NAME コマンドで確認できます。
出力先は、RMANのCONFIGURE SNAPSHOT CONTROLFILE NAME TOコマンドで設定できます。
バックアップ取得コマンド
バックアップはRMANのBACKUP DATABASEコマンドを実行して取得します。 このコマンドを実行するだけで、バックアップすべきファイル(データファイル・制御ファイル・SPFILE)を自動的に認識して、バックアップされます。
RMANを用いて取得したバックアップは、 RMANのLIST BACKUP コマンドで確認できます。