今回発表されたアプライアンス製品は、ハードウェアに日本HPのx86サーバー「HP ProLiant DL360p Gen8」、DAS接続ストレージ「HP D6000」、スイッチ「HP 5120 Switch」、ノード間はInfiniBandを使用し、ソフトウェアに日本マイクロソフトのデータウェアハウス向け「Microsoft SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse」で構成されている。最小構成は1/4ラック(2計算ノード)から。1/4ラックずつ追加できるようになっており、最大で7ラック(56計算ノード)まで拡張できる。
ソフトウェアとなる「Microsoft SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse(以下、SQL Server 2012 PDW)」はマイクロソフトがすでに3月に発表しており、今回はSQL Server 2012 PDWを用いたアプライアンス製品の第1弾が販売開始となったことになる。3月のマイクロソフト発表によると、ハードウェアベンダーは日本HPのほかにもデルを予定しているとのこと。
SQL Server 2012 PDWはビッグデータを想定したデータウェアハウスアプライアンス向けの製品で、Hadoopとのリアルタイム連携が特徴。従来は非構造型データを含むビッグデータ分析ではHadoopのデータをロードするところがボトルネックとなっていたところ、Hadoopを外部表として定義できることと、Hadoopとコンピュータノードがメッシュ接続することにより、Hadoopデータロードを不要としている。
ほかにもMPP(超並列プロセッシング)アーキテクチャとカラム型データベースで集計処理の高速化とデータ圧縮を実現。ユーザーがExcelから操作できるのもマイクロソフトならではの強みだ。
HP AppSystem for PDWの価格は最小構成で2441万2500円、加えてSQL Server 2012 PDWのライセンス費用が2877万4200円(Select Level A の参考価格)および保守サポート契約が必要となる。
デモでは日本マイクロソフトの北川氏が登場。全国にチェーン展開する小売向けシステムを想定し、POSジャーナル(データ)とTwitterのデータを重ねて分析する様子を示した。
Hadoopのデータロードが不要なため手早く処理できること、なじみのあるExcelで分析およびデータ可視化ができることをメリットとして強調した。
マイクロソフトはExcelでビッグデータ分析ができることで「全社員データサイエンティスト化」を掲げている。
両社はこれまでもMicrosoft SQL Server Fast Track Data WarehouseやMicrosoft SQL Server SSD Applianceを通じ、データベース分野においてアプライアンス製品で協業してきた。このつながりはさらに強固なものとなる。両社はビッグデータ市場に向けて戦略的アライアンスを締結し、今回の製品化につながった。それだけではない。日本HP大島本社にHP AppSystem Labを新設し、ここに日本マイクロソフトのエンジニアが常駐することで検証や保守サポートを円滑に行うような体制を整えた。
日本HPと日本マイクロソフト、ともに手を取りビッグデータ市場を切り開こうと意欲を燃やしている。