プロダクト革新、顧客インターフェース、オペレーション基盤に続くビジネスモデルの最後の柱は「財務構造」です。今回は、財務構造を構成する2つの要素「収益モデル」と「コスト構造」を一緒にご説明していきましょう。過去の連載は、こちらから。
ナンバー・テスト(収支が合っているか)を検証するのが「財務構造」
最初に、ビジネスモデルの全体像のおさらいからスタートしていきましょう(図表1)。価値提案を中心として、右サイドが「価値を提供するためのマーケティング活動」、左サイドが「その価値を作り出すためのオペレーションの仕組み」を表します。価値提案はチャネルを通じて提供され、収益モデルを形成します。他方、リソース(経営資源)を消費するプロセスグループ内の活動は、コスト構造を形成することになります。最終的に、収益からコストを差し引いたものが利益となるわけです。

第4回目の記事で触れましたが、失敗しないビジネスモデルを構築するためには、ストーリー・テスト(話の筋道が通っているか)およびナンバー・テスト(収支が合っているか)の双方に合格しなければなりません。これまでご説明してきた記事がストーリー・テストを検証するものであるとすれば、今回ご説明する財務構造はナンバー・テストを確認するものであるといえます。
さて、今回の論点をご提示しましょう(図表2)。

『ホワイトスペース戦略』を著したマーク・ジョンソン氏(『イノベーションのジレンマ』で有名なクリステンセン氏の同僚)は、利益方程式は以下の4つの要素から構成されると論じています(図表3)。
- 収益モデル:売上や収益の獲得(価格×販売数量で計算される)
- コスト構造:直接費と間接費の割合およびその内訳
- 1単位当たりの目標利益率:間接費をまかない、目標とする利益水準を達成するために必要とされる1回の取引で獲得すべき利益
- 経営資源の回転率:売上や収益を確保するために、経営資源を活用するスピード

ここでは、「収益モデル」と「コスト構造」という2つの主要な要素について話を進めていくことにしましょう。
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白井 和康(シライ カズヤス)
ITコンサルティング会社所属。IT業界において20年以上にわたり、営業、事業企画、マーケティング、コンサルティングと幅広い役割に従事。2年前のある日、「日本のビジネスに光を!」という天からの啓示を受けて以来、ビジネス構造の究明と可視化に没頭中。好きな言葉は、「人生とは、別の計画を作るのに忙しいときに起こる出来事である。」(ジョン・レノン)Facebookページ「ビジネスアーキテクチャー研究ラボ」を運営中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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