「リーンスタートアップ」と「アジャイル開発」はセットで学ぶべき
- 講座のなかで実際に「建物の外に出る」んですか?
角:はい。「建物の外に出る」のは、リーンスタートアップのワークショップではすでに実施されています。たとえば、私がメンターで参加した「Lean Startup Machine Tokyo」では、参加者のみなさんに代官山のTSUTAYAにインタビューに出かけてもらいました。
しかし、顧客インタビューをしてビジネスモデルを書いて終わり、ではもったいないと思います。そこからビジネスモデルを形にする必要があります。そのためにはプログラマとの協力が欠かせません。そもそも「リーンスタートアップ」とは、アジャイル開発をやっていたプログラマが、どうやって新しいビジネスを立ち上げればいいかという手法です。最近では、その「そもそも」の部分が忘れられているような気がします。リーンスタートアップについて学ぶときには、アジャイル開発もセットで学ぶべきです。
西村:本当は両方あって、リーンスタートアップですよね。
角:そうですね。「リーンスタートアップ」と「アジャイル開発」を組み合わせて1日で完結するワークショップは、今回開催させていただくこのアジャイルアカデミーにしかないと思います(笑)。
チーフエンジニアとしてのプロダクトオーナー
角:スクラムの作者であるジェフ・サザーランドは、トヨタの「チーフエンジニア制度」を参考にしたと言っています。これは『リーン・スタートアップ』(日経BP)に出てくる話ですが、ミニバンのチーフエンジニアは市場調査のために自ら全米をまわったそうです。
西村:レクサスのチーフエンジニアが、ドイツのアウトバーンを何度も走りに行った話もありますね。今回のワークショップの背景にある「プロダクトオーナーも開発手法を知るべきだ」という発想は、そうしたチーフエンジニアのことを考えてみても、やっぱり必要だと改めて思いました。
角:現場に足を運んだあとに、プログラマに「こういうのを作って欲しい!」という熱意を伝えたら、自然と「よし、やってやろう!」となるはずです。プログラマに限らずエンジニアは、そういう気質を持っています。ここを理解しているかいないかは、プロダクトの成果に大きな差をもたらすと思います。
西村:ジェフ・サザーランドも、プロダクトオーナーが成功する一番の理由は「パッション」だと言及していました。
角:熱意を見せれば、プログラマも協力を惜しまないですね。
西村:「リーンキャンバス」を書き、ユーザーにインタビューを実施し、失敗しながらビジョンを修正していくことが、そうした熱意につながるんでしょうね。もちろん熱意だけではプロダクトは作れないので、アジャイル開発を理解する必要がありますね。