実際に「建物の外に出て」、顧客にインタビューしよう!
- 製品の企画に関する内容もあるのですか?
角:はい。製品の企画はアジャイル開発ではカバーできていないので、別の手法を使っていただく予定です。具体的には「リーンスタートアップ」の手法です。エリック・リースがアジャイル開発を使って製品をリリースしたところ、エンドユーザーに「コレジャナイ」と言われてしまい、ユーザーに直接意見を聞くことの重要性に気づいた、というのがリーンスタートアップです。だいぶざっくりした説明ですが(笑)。
西村:エンドユーザーが近くにいれば、システムを作っているときにもすぐに話を聞けますが、実際にはなかなか難しい状況だと思います。だから事前の「顧客インタビュー」が重要になる。アジャイル開発では「プロダクトオーナー」が顧客インタビューをすることになりますが、それができる人はほとんどいませんね。
角:確かに少ないですね。
- ユーザーの声を聞いていないとなると、開発者も「本当にこのシステムは使われるのかな?」と疑問に思ってしまいますね。
角:ユーザーの声を聞かずに、パワーポイントで企画書を作るだけ、という人も多いかもしれません。顧客インタビューが重要だとわかっていても、具体的な手法を知らない場合もあると思います。あるいは、知っていたとしても、どうやって身につけるかがわからない。
一般的にインタビューの手法というと、「相手の話を傾聴する」や「質問力を高める」のようなことが連想されると思いますが、自分の性格によって使える手法も少しずつ違いますし、これといった正解があるわけでもありません。そうしたスキルを身につけるよりも、まずは実際にやってみたほうがいいと思います。
西村:職場に男性社員しかいないのに、「若い女性の気持ちになって」製品やサービスを考えようとしても無理ですよね。顧客の思いや洞察は、直接インタビューをしなければ導き出せません。
角:そういう「ロールプレイング」をする研修もありますが、それが本当に効果的なのかは疑わしいと思います。それよりも『Running Lean』(オライリー・ジャパン)に出てくる、「リーンキャンバス」や「インタビュースクリプト」などを使って、ツールを使って解決するほうが効果的です。
ただし、本当に重要なのは、「失敗しながら自分なりのスタイルを身につけていく」ことです。これは、仮説検証型のリーンスタートアップの基本でもあります。本講座では「建物の外に出て」、実際にインタビューをしていただきます。当たり前ですが、実際に存在するサービスは世の中に成果を問われるものであり、想定顧客の意見を聞きたければ、世の中、つまり「建物の外」でインタビューをして学んでいく他ありません。