SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

クリエイティブ・シフト-パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり

組織を「創造的な体質」に変える方法-クリエイティブ・シフトとは?

(第1回) 

創造社会(クリエイティブ・ソサエティ)の到来

 最後に、創造的な組織づくりが重要となる時代背景にも触れておくことにしたい。組織を創造的な体質に変えていく必要があるのは、これから社会のあり方が変わり、クリエイティブな方向へとシフトするからである。

 これからどのような変化が起きるのかをイメージするために、私は時代の変化を「C」から始まる3つのキーワードによって捉えている。それは、Consumption(消費)Communication(コミュニケーション)Creation(創造)である。そして、このキーワードをもとに、社会の変化を「消費社会」、「コミュニケーション社会(いわゆる情報社会)」、「創造社会(クリエイティブ・ソサエティ)」と呼んでいる。

 アメリカでは1920年代以降、日本では戦後、物やサービスを消費することが豊かな生活であるという「消費社会」があった。そして1990年代後半からは、情報化によってコミュニケーションに重点が置かれるようになる「コミュニケーション社会」へと移行してきた。いわゆる情報社会である。人びとがインターネットや携帯電話を用いてコミュニケーションをとることに関心を持ち、多くの時間を使っている社会である。そしてこれからは「創造社会(クリエイティブ・ソサエティ)」、つまり何かを「つくる」ということが生活のなかで大きなウェイトを占める社会へと移行すると、私は考えている。

 創造社会は、人々が自分たちで自分たちの認識・モノ・仕組みを「つくる」社会である。そしてそれは、自分たちで自分たちの未来を創造する社会でもある。創造社会では、企業等の組織だけでなく、一般の個人が「創造」を担う。「つくる」ということが日常のなかに、ごく当たり前に埋め込まれるようになるのである。実は、現在でもその萌芽はさまざまな分野で垣間見られる。それが全面展開すると思えばよいだろう。

 誰かがつくったものを消費するだけでも、それについてのコミュニケーションを図るだけでもなく、自分たちで「つくる」という社会、そのような創造的な社会が到来する。そうであるならば、組織のあり方もそれに合わせて変わっていかざるを得ない。それが、創造的な体質へと変わる「クリエイティブ・シフト」が不可欠な理由である。

 かつてファンタジー作家のミヒャエル・エンデは、「創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない」と述べた。この言葉を借りるならば、クリエイティブ・シフトとは、機械的な組織観から人間的な組織観へとシフトするということを意味していると言える。組織に関わるすべての人が「より創造的=より人間的」になり、組織のあり方も「創造的=人間的」という特性が発揮されるような方向へとシフトする。このようなクリエイティブ・シフトの可能性をみなさんと一緒に探究していきたい。

 本連載では、創造的な組織づくりのためにパターン・ランゲージを「どのように役立てることができるのか」という点から、かなりプラクティカルに紹介する。パターン・ランゲージの思想や歴史については、『パターン・ランゲージ ― 創造的な未来をつくるための言語』(井庭崇 編著)を併せてお読みいただければと思う。また、創造活動を支援するパターン・ランゲージを具体的に知りたいという方は、『プレゼンテーション・パターン ― 創造を誘発する表現のヒント』(井庭崇+井庭研究室・著)をご覧いただくと、そのイメージが持てるのではないかと思う。

 それでは、次回をお楽しみに!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
クリエイティブ・シフト-パターン・ランゲージによる創造的な組織づくり連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

井庭 崇(イバ タカシ)

慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。専門は、パターン・ラン ゲージ、システム理論、創造技法。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、現職。編著書・共著書に『複雑系入門――知のフ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/5139 2013/09/20 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング