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イノベーションを生みだし続ける組織のあり方-「コネクト型組織」とは?

イノベーションに効く翻訳書01:『コネクト ―企業と顧客が相互接続された未来の働き方』 


日本型組織における実験的実践

 本書の議論は、「ゲームストーミング」に引き続き監訳を行われている野村氏のフューチャーセンターやサラサラの組織の議論にも通じるものがありますし、「ゲームストーミング」からの流れで解釈すれば、上田信行氏の「プレイフル・シンキング」の議論にも共通点があります。

アイデアキャンプ
NTT出版

 加えて、手前味噌になりますが、私が数年前に仲間と書いた「アイデアキャンプ」という書籍ともコンセプトを同じくすると感じました。「アイデアキャンプ」のテーマは「オフィスを離れて発想のキャンプにでかけよう」で、アイデアワークショップをキャンプのようにいつもとは違う仲間とオフサイトで実施することで、普段とは異なるアイデアを得ることができるというものでした。

 「アイデアキャンプ」の第5章では、「コレクティブな組織」と「コネクティブな組織」の対比を紹介していますが、まさに本書「コネクト」で述べられている「ポジュラー型組織」や「ポッド」によって構成されるコネクト型組織の議論とのシンクロ性を感じます。

 我々が「アイデアキャンプ」で取り上げたのは、一時的なワークショップのような会議体であるのに対して、本書「コネクト」では恒常的な組織への言及となっています。前著「ゲームストーミング」がアイデアワークショップの方法論であり、そこからの流れで考えると、一時的なワークショップと恒常的な組織の連続性が背景にあるのではないかと考えられます。

 我々が「アイデアキャンプ」という一時的な集まりの形態に行き着いた背景は、本書で述べられている階層的な分割型組織の形態を取ることが多い日本企業の中で、このような実践を行う際に、ワークショップのような一時的な会議体の方が取り組み安いのではないかと考えたことがありました。

 我々が「アイデアキャンプ」をまとめる過程で議論していたのは、日本企業においてアイデアキャンプのようなコネクティブな活動を本書で言及されているコネクト型組織の入り口として実践していくことの意義でした。

 これは本書で述べられている実験的プロセスの一部としても考えることができるのではないでしょうか。日本型組織では、こうしたコネクト型組織の小さな実験を繰り返し行っていくことが、恒常的な組織をコネクト型組織に変革していく一つの方法なのではないかと考えられます。

 本稿内の出典・参考文献は以下にまとめます。
  1. Dave Gray、Sunni Brown、James Macanufo「ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム」オライリージャパン、2011年
  2. 上田 信行「プレイフル・シンキング」宣伝会議、2009年
  3. 中西 泰人、岩嵜 博論、 佐藤 益大「アイデアキャンプ ―創造する時代の働き方」エヌティティ出版、2011年
  4. 野村 恭彦「フューチャーセンターをつくろう ― 対話をイノベーションにつなげる仕組み」プレジデント社、2012年
  5. 富士ゼロックスKDI、野村 恭彦、仙石 太郎、荒井 恭一「サラサラの組織―あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵」ダイヤモンド社、2008年

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この記事の著者

岩嵜 博論(イワサキ ヒロノリ)

株式会社博報堂 コンサルティング局ストラテジックプラニングディレクター
博報堂において国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、近年は生活者発想によるビジネス機会創造プロジェクトをリードしている。専門は、エスノグラフィックリサーチ、新製品・サービス開発、ビジネスデザイン、ユーザ...

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