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イノベーションに効く洋書01:“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs” 後編

(第2回) 

第1回目の前編につづき“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs”を紹介します。今回は、本書の中核である応用・実践部分(イノベーティブな企業の分析、業界分析、自社のイノベーション)を語っている後半の内容を紹介します。前編はこちら。

「10の型」の応用:イノベーティブな企業/業界の分析

「10の型」活用方法<1>:イノベーティブな企業の分析

 では、本書“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs”では、どのようにして、この「10の型」を使っていけば良いと解説しているのでしょうか。もっともわかりやすいところでは、「イノベーションを実現している企業がなぜ優れているのかを分析するためのツール」として使うことです。たとえば、FedEx社は、先に挙げた「10の型」のうち、「収益モデル」と「プロセス」、「製品パフォーマンス」、「サービス」、そして「チャネル」のそれぞれにおいてイノベーションに取り組んできました。

図:Doblin - The Ten Types of Innovationを元に著者作成

 このように企業のイノベーションの取り組みを調べているうちに、著者らはトップ・イノベーター(BusinessWeekやFast Company、Forbesなどがまとめた世界における最もイノベーティブや企業リストに基づく)が、普通の企業よりも多くの型を使っていることがわかりました。具体的には、一般的な企業では「10の型」のうち平均で1.8しか使っていないのに対し、トップ・イノベーターは3.6も使っていることがわかったのです。

 日本では、ものづくりを重視するあまり、「10の型」のうち「製品パフォーマンス」のイノベーションに注力する傾向が今でも強いように感じます。ただし、これだけでは強力で、優位性が長く続くようなイノベーションを実現するのが難しいというのは、著者らの調査からもわかるはずです。

「10の型」活用方法<2>:イノベーティブな業界の分析

 この「10の型」は個々の企業の分析だけではなく、業界の分析にも使うことができます。本書では、その例として個人向けの通信デバイスや業界、製薬業界を例に挙げて、「10の型」を使った業界分析の方法を紹介しています。

 具体的な方法は、実際に本を買って目を通していただくのがわかりやすいと思うのですが、Google Booksから製薬業界の分析のページを見ることができますので、手元にない方は、まずはこちらで確認してみてください。

 製薬業界の例を見るとわかるように、「10の型」を使った業界分析では、その業界でイノベーションが進んでいる部分はその要素の部分が山のようになっていて、逆にイノベーションのために十分な投資が行われていない部分は他と比べて高さが低く、谷のようになっています。

 製薬業界でいえば、イノベーションが特に進んでいる部分は「ネットワーク」と「プロセス」、そして「チャネル」で、あまり進んでいない部分は「収益モデル」、「製品システム」、そして「顧客エンゲージメント」であることがわかります。そのうえで、例えばもっとも山になっている部分、つまりイノベーションが進んでいる「プロセス」の部分は、製薬業界が新薬開発をより安価に、かつ素早く行う方法を模索するプロセスイノベーションに注力していることを表しているという分析などを行っています。

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この記事の著者

新井 宏征(アライ ヒロユキ)

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年よりプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社である株式会社スタイリッシュ・アイデアを設立。2006年に『プロダクトマネジャーの教科書』を翻訳出版後、企業に対するプロダクトマネジメントの導入や新規事業開発、製品開発の支援を行っている他、「プロダクトマネジャー養成講座」を開講し、プロダクトマネジャーの養成にも力を入れている。また、プロダクトマネジメントに関する話題を中心とした「Stylish Ideaニューズレター」も毎週発行している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5162 2013/10/10 08:00

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