SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

イノベーターの本棚

ジョブズがアドバイスを求めた男の「クリエイティビティにあふれる社員を雇い育てる52のルール」

(第11回)イノベーションに効く洋書04:“Finding the Next Steve Jobs: How to Find, Hire, Keep and Nurture Creative Talent”

ジョブズの悩みと会社にとってのクリエイティビティ

 本書は、ブッシュネルがパリで開催したパーティーでジョブズと再会する場面から始まります。ブッシュネルの豪勢な邸宅で開かれたパーティーの後、ブッシュネルとふたりでゆっくり話しをする機会を得たジョブズは、ブッシュネルに悩みを打ち明けます。その時すでにアップルを立ち上げていたジョブズは、ブッシュネルにこう伝えたと書かれています。

 「あらゆるアイデアを自分が出すことを、(アップルの社員)みんなが期待している。でも、あなたはそうやって強い会社を作ったわけではないんでしょう?」

 ブッシュネルとジョブズの会話が行われたのは1980年のことだと書かれているので、ジョブズがこの通り語ったかどうかは定かではありません。しかし、彼がこういう悩みを持っていたということは本当なのでしょう。プロダクトに対して強い思い入れを持ち、時には「独裁的」とも評されるジョブズですが、必ずしもそういう状況に満足していたわけではないことがうかがえます。

 世界のエクセレントカンパニーの中には、アップルのように強烈なリーダーが会社全体のクリエイティビティの源泉となり、そこから生まれるアイデアでイノベーティブな会社であり続ける企業が少なくありません。しかし、現在のアップルを見るまでもなく、そのような体制で経営されている企業は決して持続可能な会社にはなり得ません。

 そこで、今年70歳を迎え、ジョブズからの全幅の信頼を得ているブッシュネルが、ジョブズのような社員を雇い、社内で活躍させ、育てていくためのルールをまとめたのがこの本です。

「ポン」というアドバイス

 本書では、クリエイティビティにあふれる社員を雇い、育てるための52のルール(52個目はConclusionとなっていますが、後ほど紹介するとおり、重要なルールとなっている)をまとめています。特徴的な点は、それらを「ルール」とは呼ばず、アタリが生んだ大ヒットゲームの名前を借用し「ポン(pong)」と呼んでいます。

 ブッシュネルがあえて「ルール」ではなく、実質的に意味を持たない「ポン」という用語を使っているのは、彼がクリエイティビティとは厳格なルールを定めれば生まれるものではないと信じているからです。彼は、すべての人に対して、いつも同じように当てはめることができるルールなんてものは存在しないと考えています。そこで「ルール」というような堅苦しいものではなく、ちょっとしたアドバイスというような意味合いで「ポン」という言葉を使っています。

 ひとつひとつの「ポン」はどれも読みやすく、具体的なものばかり。最初から順に読まなくても、目次を見て、気になったものだけを拾い読みする読み方でも役に立つような構成になっています。

次のページ
クリエイティビティはルールからは生まれない-ルールではなくアトバイス

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
イノベーターの本棚連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

新井 宏征(アライ ヒロユキ)

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年よりプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社である株式会社スタイリッシュ・アイデアを設立。2006年に『プロダクトマネジャーの教科書』を翻訳出版後、企業に対するプロダクトマネジメントの導入や新規事業開発、製品開発の支援を行っている他、「プロダクトマネジャー養成講座」を開講し、プロダクトマネジャーの養成にも力を入れている。また、プロダクトマネジメントに関する話題を中心とした「Stylish Ideaニューズレター」も毎週発行している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/5281 2013/12/27 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング