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業務の現場で―BIの老舗、Infomation BuildersのKevin R. Quinn氏に訊く


 BIの老舗、Infomation Buildersで副社長を務めるケビン・クイン氏が来日した。企業内でどのようにBIを活用していくべきかから始まり、同社のBIツール「WebFOCUS」の特徴などを解説してもらった。

Quinn氏
Infomation Builders社
ケビン・クイン氏

 Infomation Builders社はメインフレームの時代から企業の情報系システムを支えている独立系企業。今では「オペレーショナルBI」をうたい、Web対応したツール「WebFOCUS」を提供している。

 近年ではビッグデータの後押しもあり、BIの認知度や期待度は十分高まってきた。今まで分析しきれなかったソーシャルメディアで行き交う大量のデータを分析することで、何からの気づきやビジネスにつなげようとする企業は増えてきている。

 本来BIは企業内でどのように機能していくものか。クイン氏は3つの層を挙げる。企業の成長を加速させる「戦略」の層、トレンドや機会などを理解するための「分析」の層、現場で行動につなげるための「業務」の層。これら3つが相互に関係し合いBIは機能していく。同社が強調する「オペレーショナルBI」というのは業務の現場で的確な行動につなげるためのBIであるということになる。

 さらに分析には以下の4つのタイプがあるという。これらは循環し、繰り返し行うことでより精度を高めていくことになりそうだ。

説明的な分析「何が起きたのか?」

 経営者などが見るダッシュボード、スコアボード、レポートなど

診断的な分析「なぜ起きたのか?」

 クエリーと分析からデータ発見につなげる

予測的な分析「次は何が起こるのか?」

 統計などから将来を分析する

処方的な分析「何が最適な方法か?」

 将来の予測に対して最善の結果を出すにはどうすればいいか

 クイン氏はいくつか具体例を挙げた。まずはシカゴ警察。Twitterなどソーシャルメディアからの情報を分析し、地図にマッピングすることで、犯罪が起きそうなエリアが色分けされる。これを見れば特別なスキルは必要なく、どのエリアでパトロールを強化すればいいかが分かる。効率的にパトカーを配置することで治安維持に役立てている。ここはまさに分析結果が「どのエリアにパトカーを派遣するか」という場面での判断基準となっており、分析が現場の次のアクションに直結している。

 BITrends

 シカゴ警察の例のように、ソーシャルメディアの情報を分析するというのは昨今の分析では避けては通れない。今やFacebookは10億以上、Twitterは5億以上、Linked-Inでは2億以上のアクティブユーザーがいると言われている。ここ流れる情報からいかに有用な価値を見いだせるかが大事なところだが、まずはデータを取り込まなくてはならない。WebFOCUSでは「データアダプタ」という形でFacebook、Twitter、Linked-Inのデータと連携できるようになっている。さらに近々Google+とのデータアダプタも発表する予定だという。

 ソーシャルメディアの分析をするとなると、センチメント分析も大事な機能である。ソーシャルメディアで話題に上るキーワードがポジティブかネガティブか、好印象なのか否定的か、時系列で動きを分析することができるようになっている。

 面白い例としてクイン氏が挙げたのはウォルマートのキャンペーン。ソーシャルメディアのトレンド分析にて、ある日から突然「ウォルマートの肉はまずい!」というような否定的なコメントが頻発するようになった。ちょっとした炎上である。

 実はちょうどウォルマートが肉のキャンペーンを開始したところだった。キャンペーンでは「ご満足いただけなかったら100%返金に応じます」という条件もあり、それが影響したようだ(ある程度は匿名性が高い捨てアカかもしれないが、匿名とは言い切れないTwiiterで堂々と批判するなんてすごい度胸だと思うが)。クイン氏は「企業がキャンペーンを行うなら、ソーシャルメディアにおける反響は分析すべきだ」と分析の重要性を強調した。

 今度はWebFOCUSを技術面から見てみよう。WebFOCUSは分析のためのツールで、ほとんどの主要なデータベースが利用できるようになっている。Teradata、IBM、Oracle、SAPのような伝統的なRDBにはアダプタがあり統合的に利用できるほか、MongoDBデータベースエンジンの組み込み、さらにHadoopフレームワークも可能だ。

 そして分析するとなると、有利なのがカラム(列)型データベースである。従来型となる行型ではトランザクションには有利でも、分析や集計では不利となる。そこでWebFOCUSでは独自のカラム型データベース「ハイパーステージ」を提供している。このデータベースに格納するとデータは効率よく圧縮されて元サイズの約1割となる(平均値)。なお連携するデータベースが列指向であればハイパーステージを利用する必要はない。ハイパーステージはカラム型データベースの選択肢がないときの代替策と考えてよさそうだ。また日本市場においてはハイパーステージの代わりにInfniDBを使用することが多いそうだ。

 モバイルでの利用も欠かせない大事なポイントだ。同社もモバイルでの展開を重視しており、分析結果をタブレットやスマートフォンで閲覧できるように機能強化を進めている。iOSをはじめとして、Android 4やWindows Phone 8にも対応している。ほかのプラットフォームへの展開も現在進行中だ。

 モバイルで展開されているアプリケーションではオフラインでの利用も可能となっている。代表的なものにSecurities Americaで提供されるシミュレーションを行うアプリがある。リアルタイムの株価表示のようなものは当然オンラインである必要があるものの、ちょっとしたシミュレーションはオフラインでもできるようになっている。それぞれの顧客ごとに必要なデータをメールで配信し、アプリ内部ではSafariが組み込まれていてHTML5で表示するようにできているそうだ。

 ビッグデータ全盛を迎えた昨今、データベースの隣にBIツールはマストアイテムとなるのかもしれない。WebFOCUSは情報分析の老舗ともあり、機能面や操作性が充実しており、顧客満足度でも定評がある。BIツールを選定するときの基準となりそうだ。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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