前回は、付加価値を計算する2つの方法を紹介しました。控除方式と加算方式です。しかし、顧客にとって付加価値は、計算するものではなく感じるものなので、1,000円のコーヒーの付加価値が900円~800円であることは、感覚的にわかるのです。よって、1,000円のコーヒーを販売する側は、その付加価値を顧客に認めてもらう必要があります。ここに固定費をかける意味があります。今回は、付加価値の考え方を応用する方法を紹介します。営業を進めるコツと付加価値の考え方が密接に関係していることもわかってくるでしょう。
本連載筆者による、事業計画の意思決定や判断に役立つ「管理会計」の基本を学ぶ!!

管理会計は、経営管理に活用するものですがその活用方法は企業ごとに異なり体系化されていません。今回の講座では、1:「損益分岐点分析」を通じた管理会計の基本、2:「変動損益計算書」による「付加価値」を分析するコツ、3:「利益計画」の立て方・考え方の基本の3点を中心に、管理会計を事業計画に活用するための基本を1日集中型の講座で解説します。
日時:2013年12月13日(金)10:00~17:30(受付開始は9:30)
受講料:38,000円(税別)/39,900円(税込)
会場:株式会社翔泳社(東京・四谷三丁目)
お申込・詳細 ⇒ こちら
洋服の直し代をサービスできないA店、サービスできるB店
田中君は、紳士衣料を販売するA店で、ブランドのジャケットを購入しました。やや袖丈が長めだったので、直してもらうことにしました。直しには1週間かかるということです。直し代は5,000円です。その後、B店に行って、既成のカジュアルジャケットをもう一着購入しました。やはりサイズが合わないので、A店の時と同じように袖丈を直すことにしました。直し代は3,000円で、3日でできるといいます。
A店で購入したジャケットと同様なものがB店にあったので、「直し代の安いB店で2着とも購入して、直してもらった方が良かったな」と田中君は、後悔しましたが、手遅れでした。
田中君は、A店に行って、「直し代をもう少し安くしてもらえませんか。納期も早くならないですか」と確認しましたが、それは難しいと言われてしまいました。その代り、もう1着買ってもらえれば、2着目は、値引きするということです。
B店にも確認しましたが、「シーズン中なので2着目でも値引きできないが、2着目の直し代は、サービスする」ということです。また「お急ぎなら、2日でお直しします」と提案してきました。A店、B店とも、規模は同じくらいで、主要都市に数店舗を展開し、既製品を販売する紳士服専門の小売業です。
さてここで、直し代と両店の対応の違いについて考えてみましょう。なぜA店の直し代は高くて、かつ遅いのでしょうか。B店は、なぜ2着目の直し代を無料にでき、完成までの期間を短くできるのでしょうか?
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千賀 秀信(センガ ヒデノブ)
公認会計士、税理士専門の情報処理サービス業・株式会社TKC(東証1部)で、財務会計、経営管理などのシステム開発、営業、広報、教育などを担当。18年間勤務後、1997年にマネジメント能力開発研究所を設立し、企業経営と計数を結びつけた独自のマネジメント能力開発プログラムを構築。「わかりやすさと具体性」という点で、多くの企業担当者や受講生からよい評価を受けている。研修、コンサルティング、執筆などで活躍中。日本能率協...
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