Excelで「ビッグデータを民主化する」
Power BIは、2013年7月のイベントWPC(Worldwide Partner Conference)で発表された製品。マイクロソフトのビッグデータ関連製品の1つに位置づけられており、使い慣れたExcelのインタフェースで企業のエンドユーザーがビッグデータを扱えるようにすることで「ビッグデータを民主化する」というコンセプトを持つ。
今年1月7日(米国時間)に米国での提供価格(33ドル~)と提供時期を発表した。国内では、米国同様、2月上旬から提供を開始する予定となっている(価格は未定)。
サーバープラットフォームビジネス本部のシニアマネージャーの斎藤泰行氏は、マイクロソフトが考えるビッグデータのビジョンについて、「昨年から『Bring Big Data to One Billion People』を掲げている。ここで言う10億人(One Billion)という数字は、Excelのユーザー数だ。ビッグデータの活用では、ビジネスの現場に近い社員がデータを活用できるようにすることが大切だ。社内にデータサイエンティストがいなくても、Excelを使うことさえできればビジネスの現場でデータが活用できる。そういった環境を実現していきたい」と説明した。
具体的には、Power BIを、さまざまなデータソースからデータを取得、加工して、Excel上で分析できるようにする基盤として利用する。データマートのような基盤を構築する必要はなく、大量の生データを直接Excelにロードし分析することが可能という。
取得や加工、可視化といった処理については、それぞれ「Power Query」「Power Pivot」「Power View」「Power Map」などの機能がExcelのアドインとして提供される。また、クラウドサービスとの連携も特徴で、「Power BIサイト」でデータを共有したり、「Power BI Q&A」で自然言語を使って表示するデータ項目を変えたりできる。Web版の「Excel Web App」やWindowsストアアプリを利用して、さまざまなOSやデバイスからアクセスすることも可能だ。
説明会では、これらの機能ついて、コーヒーショップのエリアマネージャーが店舗の販売動向を分析して新しいマーケティング施策などにつなげるというシナリオをデモで示した。
たとえば、販売実績として社内共有しているSharePoint Server上の表データをPower Queryを使ってExcelに取り込み、Query Editorを使って事前に項目を加工し、Power Pivotで項目を関連付ける。それらデータに、Wikipediaなどから取得できる人口統計やTwitterのつぶやきデータなどを組み合わせ、Power ViewやPower Mapを使って「◯◯エリアの店舗で新商品が売れていないのはなぜか」などをビジュアルに把握していく。
「データの近くにいる現場の社員が自分でデータを持ってきて、ワイワイガヤガヤで活用を推進していくことができる。データ活用の入り口であると同時に出口にもしてきたい」(斎藤氏)
提供する機能は、大きく、スタンドアロンのExcelアドインと、クラウドサービスの2つに分かれる。ラインアップとしては、利用するOffice 365のプランの違いなどにより、4種類が提供される。