グローバル市場におけるSMBクラウドの成長率
SMBのクラウド市場に関する調査は、米国、ブラジル、メキシコなどでおこなわれ、社員数やSOHO型の一人の場合から1000人までの企業を対象におこなわれた。米国のSMB市場は、20人未満の「micro」、100人未満の「small」、1000人未満の「medium」に分かれ、全体では7600万人の規模だという。
この調査が始まったのは、4年前。「この調査を始めた年はSMB企業の平均のクラウドのアプリケーションの種類は1種類であったが、現在では平均で5種類となっている。おそらく2018年には9種類になっているだろう」と米パラレルス社CEOのバーガー・スティーン氏は語る。
もっとも大きな特長としては、クラウドの成長率の上昇である。
世界の SMB 向けクラウドサービス市場が 2016 年まで年平均成長率 26% で拡大し、1,250 億米ドルに達することが予想されている。これは「米国、ブラジル、メキシコのSMB企業のCEOの投資額の調査によるもの(バーガー氏)だという。最新の 2014 年版国別レポートでは、、インフラ市場の指標としてクラウドサーバの利用であるIaaS、コミュニケーション&コラボレーションにホスト型PBXを加えたユニファイドコミュニケーション、ビジネス・アプリケーション(SaaS)などの分野について発表している。
コミュニケーションおよびコラボレーション(ビジネス向けのメールサービスやホスト型 PBX サービスを含む)は、市場全体の成長率を上回っており、2012 年の 48 億米ドルから 2013 年の 65 億米ドルへ、年平均成長率 37% で成長している。さらに、2016 年には 200 億米ドルに達する見込み。この分野の成長率は高いが、日本とは全く異なり、米国ではホスト型PBXや音声コミュニケーションは、ISVにとっても重要なマーケット。日本ではVOIPという市場になるが、米国の方がより成長率が高い」(米パラレルス関係者)
IaaS(Infrastructure-as-a-Service)は、2 番目に成長が速いクラウドサービス市場であり、年平均成長率 27% で 2016 年末までに 420 億米ドルに達する見込み。
米国のSMBクラウド調査ではIaaSの成長性が高い
2014年の米国の予測調査の比率で、最も大きな成長分野は、Iaasで、2013年の65億ドルから、84億ドルへと12%上昇している。ホステッドを含む全体のうち、20%の12億ドルがクラウドサーバーの市場となる。
クラウドやホスティングに対する抵抗要因は、「価格 56%」「セキュリティ 39%」「社内で開発したアプリケーションが動作するか 20%」「IT部門や担当が推奨しない 11%」などである。中でもIT部門の移行への抵抗は日本と同様だが、米国の方がサーバー担当者にとっては「職を失う」という危機感がより高という。(米パラレルス関係者)
「可用性」「容量の無制限」に対しては、よりお金を払っても良いという意識がある。「SMBにはIT部門もない場合が多く、容量の計算については不慣れであったり、容量の制限の有無が価格差が少ないため、無制限を選ぶ傾向がある」(Parallels関係者)とのこと。SMB企業にとって、導入するアプリケーションは、サーバーと同時に追加するアドオンがほとんど。それぞれのアプリケーションをベンダーから購入するのではなく、ISVから一括して購入する。アドオンは「バックアップ」「セキュリティ」の2種類のケースが多い。
Webサイトとアプリケーションのクラウドの投資意欲は、31億ドルから36億ドルという上昇で、IaaSに比べると市場の伸びとしては落ち着いている。
ビジネス・アプリケーションは2013年の54億から2014年の71億米ドルと17%の伸び。構成はファイル共有、オンラインアカウンティング、オンラインバックアップ・ストレージの3分野。
クラウドサービスの導入は、クラウド事業者からのバンドルでおこなうSMB企業は全体の50%。また50%が1社のサービスプロバイダーから購入している。
以上のレポートの結果から読み取れるのは、サービスプロバイダーやISV企業がクラウド・サービスを複数取り揃え、顧客企業にとってわかりやすいパッケージとして提案することの重要性だ。米国のSMBクラウド市場では、複数のクラウドサービスを組み合わせて販売するというモデルが今後成長するというのが、本調査に基づく米パラレルス社の主張である。