BlueMixで「開発者が開発に専念できるようにする」
「BlueMix」はIBMが提供することになるクラウド型の開発プラットフォーム。PaaSの開発環境だ。今年2月に米国ラスベガスで開催されたIBMのカンファレンス「IBM Pulse 2014」(関連記事)にてオープンベータとして発表された。今ではIDを登録すれば専用サイトで無料にて試用できる。正式な公開時期はIBMによると「準備が整い次第」とのこと。
日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・SaaSビジネス開発担当 高瀬正子氏は「いまテクノロジーが様々なビジネスを変えてきています。皆さまも日常で実感しているのではないでしょうか」と切り出した。例えばスマートフォンのクーポンで実店舗に誘導するとか、航空機など大型機械のセンサーデータを分析して保守を効率化するなど、テクノロジーがビジネスを発展させてきている。
新潮流の中心はモバイル端末を活用したソーシャルサイトやビッグデータ分析だ。いかに的確に「個人」にリーチするか、即応性を実現できるかが課題となっている。こうした新分野がある一方、CRMやERPなど従来のシステムも無視できない。両者は組み合わせることで「さらに大きなインパクトをもたらすことができる」と同社 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴィエック・マハジャン氏は言う。
実現の鍵となるビジョンをIBMは「ダイナミック・クラウド」と呼んでいる。あらゆるITがダイナミックに相互接続し、オーケストレーションができるクラウドだ。多様なビジネスやテクノロジーを組み合わせて包括的に連携できるクラウドとも言えるだろう。
IBMは今回発表したBlueMixを「コンポーザブルな開発環境」と紹介している。この「コンポーザブル」とは「構成する」や「組み立てる」、加えて「作曲をする」という意味も持つ「コンポーズ(compose)」に接尾語「able」がつくので「組み合わせが可能な」といった意味になる。あらゆる言語やサービスを組み合わせて、オーケストレーションが可能となる開発環境を言い表している。
BlueMixでIBMが強調していたのは「開発者が開発に専念できるようにすること」。あらゆる道具を自由に組み合わせることを可能にすることにより、開発者には開発に専念できるようにする。
マハジャン氏は「クラウドの開発者を増やしたい」とも述べる。現時点では開発者全体と比較してクラウドベースのシステム開発が可能な開発者はまだ少ないとIBMは見ている。IBMは既存の開発者コミュニティdeveloperWorks、起業家支援プログラム、イノベーションセンターや大学におけるイベントに加え、今後はBlueMixの推進活動や後述するコンテストも開催することでクラウドの開発者支援にもさらに注力していく。「いろんなコミュニティを作り盛り上げていきたい」とマハジャン氏。