日本IBMは5月15日、IBMソフトウェア SaaS戦略説明会を開催。ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏と、同本部クラウド・SaaSビジネス開発担当の高瀬正子氏が、IBMが展開するSaaSソリューションの最新動向を解説した。
100を超えるSaaSソリューションを提供、国内で50万ユーザーが利用

IBM SaaSソリューションは、同社が開発しオンプレミスで提供していた製品をクラウド化したものや、買収や提携により取得したSaaSサービスなどから構成されている。マーケティングや顧客サポート、経費管理、人事、ソーシャルといったSaaS専業ベンダーが提供するようなサービスだけでなく、IT運用、法務、調達、eコマース、都市運営など、エンタープライズ業務を幅広くカバーしていることが大きな特徴だ。
「100を超えるSaaSソリューションが提供されている。フロントオフィスからバックオフィスまで包括的なソリューションを提供しており、エンタープライズにふさわしいセキュリティ、可用性、拡張性を備えている。あまり宣伝していないのでご存知ないかもしれないが、企業が自社開発したものを含め、すでに日本で50万ユーザーが利用している状況だ」(マハジャン氏)
たとえばマーケティング分野では、「IBM Digital Analytics」を活用して読者や投稿者の満足度向上をはかっているオールアバウト、「IBM Marketing Center」を使って「おとなの自動車保険」サイトで顧客属性に基づいた対応を行っているセゾン自動車火災保険などがある。ソーシャル分野では「SmarterCloud for Social Business(SCSB)」を使ったコラボーレーション基盤を構築するリコーがある。セキュリティ分野では大手金融機関の8割がウイルス対策やWebセキュリティで「Trusteer」を利用している。
ソリューションは大きく8つのカテゴリーに分けられる。具体的には、アナリティクス、ITサービス、セキュリティ、モバイル、スマーター・コマース、ソーシャル・ビジネス、スマーター・シティ、BPaaS(Business Process as a Service)となる。ソリューション名で言えば、たとえばアナリティクスでは、意思決定や予測分析などを目的とした、「Cognos TM1/Concert」「Algo Algorithmics」「SPSS Analytical Decision」「Analytical Answers」などの機能やサービスがSaaSで利用可能になっている。

「IBMのクラウドは現在50ヵ国以上で利用可能で、プライベート、パブリック、ハイブリッドの各クラウド環境で柔軟に展開できる。いまではSaaSは、コスト削減の手段ではなく、業務を改革し、イノベーションを加速するためのエントリーポイントに位置づけられている」(マハジャン氏)
米IBMは5月上旬までにこれら100を超えるSaaSソリューションを紹介するページ「IBM Cloud/SaaS」を設け、また、マーケットプレイス「IBM Cloud /marketplace」も公開した。
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齋藤公二(サイトウコウジ)
インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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