「神の手を持つ男」ついに登場!
本連載ではこれまで、日立のデータベースにかかわるさまざまな方々にご登場いただいたが、最終回となる今回はついに、「ゴッドハンド」なるニックネームを持つラスボスの登場だ。これに加え、「キング」と「ニュータイプ」という強力キャラまで登場して、プレイヤーの行く手を阻む。無事、姫を救出してハッピーエンドを迎えるためには、これら濃ゆーいキャラを倒して前進する以外にないのだ。ゆけ!
「ちょうど今かかわっているシステムは、1秒間に2万5000回のSQLという高トラフィックをさばかなくてはいけないんです」
おっと、出たなゴッドハンド! ボスキャラにしては、やけに穏やかで温厚なお人柄である。ところで1秒間に2万5000のSQLってどういうことでしょうか。
「日本国内でも10指に入るぐらいの超ミッションクリティカル・高トラフィックシステムのプロジェクトに、HiRDBのテクニカルサービスとして技術支援を提供しています。このシステムでは、HiRDBのログの件数も一日に数億~10億件と、かなりの数になりますね」
……半端ない。このゴッドハンドこと、中尾淳一さんは日立のソフトウェア開発本部 DB設計部で、HiRDBのテクニカルサービスを担当するカリスマデータベース技術者だ。テクニカルサービスというと、一見トラブルシュートを請け負うサポートサービス担当のようにも見えるが、それだけではなくてシステムの設計から構築、運用に至る、プロジェクトにすべてのフェースにおいて技術支援を提供するのだという。
とここで、ニュータイプこと脇坂彰人さんがフォローに入る。
「多数のシステムと連携し、極端に高い負荷が掛かるシステムでは、問題の原因として考えられる要素が多岐にわたるので、切り分けがとても難しいんです。でも中尾さんがHiRDBのトレースを見ると、HiRDBの問題はもちろんのこと、時にはアプリケーションやOSの問題まで突き止めてくれる。まるでレントゲン写真から、一発で病巣を見抜くことができる名医のようです」
なるほど、確かにゴッドハンドと呼ばれるわけだ。事実、つい最近も、HiRDBのログを手がかりにOSの問題を突き止めたそうで。もちろん、HiRDBそのもののトラブルシュートやチューニングに関しては日立社内でも随一、ということは日本一ってこと?
「例えば、IO性能向上を狙ってDBバッファの容量を増やすチューニングはよく行われますけど、必ずしもすべてのケースでそれが有効とは限らないんです。バッファに関する統計情報を見ると、バッファサイズを増やすよりも、バッファを分割して負荷分散した方が良いとか、SQLの実行計画が悪いためSQLチューニングした方が良いとかが分かります。この前は、バッファ間のアクセス頻度の偏りから、テーブルの分割定義が誤っていることを突き止めました。」(中尾さん)
そんな細かいとこまで突き詰めてやるんですね。もちろん、こんだけカリカリのチューニングが必要なケースはごく一部だそうだが、ここまでやるにはやはりデータベースの細かい内部処理について知ってないといけない。そういう意味だと、自社で一から開発して、内部を隅々まで知り尽くしているデータベース製品を持っているというのは、やはりいざというときに大きなアドバンテージになるんでしょうね。