「IT機器は、とにかく水害や火災などの災害に対して非常に弱いんです。そしてIT機器の最大の脅威は水没です」―こう語るのは、S&Jコンサルティングの三輪信雄氏。
S&Jコンサルティングでは、新しい復旧サービスを始められたとのことで、お話をうかがってきました。
「当社には、サイバー攻撃による被害に遭った企業などからの相談のほかに、水没や火災により起動できなくなった機器類が持ち込まれることがしばしばあります。こうした水没や火災により傷ついた機器類は、確認のために電源を入れてみたり、何度も起動を試みるとかえって復旧を困難にしてしまうのです。しかし、このような状態に陥ったユーザーは往々にして、自らとどめを刺してしまっているのです」
とはいえ、スマートフォンやタブレットが水没したり燃えたりするのは、いつだって突然のこと。慌ててしまうのも致し方ないことではないでしょうか。そして、つい、「長押しでなんとかなるのでは?」「乾かせばなんとかなるのでは?」「ちょっと中を開けてみて様子をみてみよう……」などと、事態をどんどん悪化させてしまうわけですが、これもすべて良かれと思ってこそのことではないでしょうか。
「水没したIT機器は、素人がいじっては絶対にいけません」
それでは、どうしたらいいいのでしょうか?こうした場合、普段取引のあるSIベンダーや機器ベンダーに問い合わせても、「機器の修理」としては取り扱ってくれるものの、「データの復旧」は積極的には対応してくれないことがほとんどです。サイバー攻撃やフォレンジックなどを取り扱うセキュリティベンダーでも、このような傷ついた機器からのデータ復旧は得意とはしていないようです。
かくして、我々は「データ復旧 水没」「スマホ 水没 データ復旧」などのキーワードで検索することになります。検索するものの、あまりに多くの業者がサービスを提供しており、中には怪しそうな業者も見受けられ、いったいどこにデータ復旧を頼めばいいのか……わからなくなるばかりです。
「ユーザーの関心は『機器を直したい』『データをできるだけ復元したい』というだけではないんです。『どこに頼めば安心か』ということも大きい要素なのですね。極端な話、復元したデータが悪用されないか、本当に良心的なのか、法外な料金を請求されないか、心配は尽きませんよね」
そうなんです。たとえば、下水のつまりの工事。基本料金だけでは済まずに、「特別な薬品を使用するための追加料金」などが発生するケースがあるように、どうやらデータ復旧においても、基本料金以外にも発生する料金はあるようなのです。
「もっとも、こうしたデータ復旧を請け負う企業にも都合はあるんです。基本的な作業だけで復旧できる場合と非常に高度な作業を伴う場合があり、それは作業を進めないとわからない。したがって単純な料金設定は難しく、ある程度作業の困難さや時間によって課金するというのが妥当なのです」
もともと、S&Jコンサルティングさんでは、こうした相談を個別に受けて対応をしていたのだとか。ところが、最近の集中豪雨などによる水没が多発したことを受け、水没や火災に逢ったIT機器類の復旧にも対応できるサービスを一般向けに提供することにしたのだそうです。。
水没したPC、そしてUSBメモリ…さて、いったいどうやって復旧していただけるのでしょうか?
「まず、専門の技術者が、専用機材を使って、丁寧に分解・清掃を行います」
まず、分解、掃除です。「それくらいだったら自分でもできる……」と思ったそこのあなた、その驕りが、悲劇を招くのです。「専門の技術者が、専用機材を使って」というところが重要なのです。専門家が分解、清掃、その他しかるべき処置を行った結果、復旧しました。
よく見ると全然違いますね。これは確かに、素人では無理かもしれません。(もちろん、傷ついた程度によって復旧できることもあれば、残念ながら長時間の塩水による腐食により復旧できないこともあるそうです)。
「IT機器類は水に弱いということは知られていますが、ただ池に落としたといったような落下することによる水没のほかにも、洪水による浸水、以外にも火災発生時に消火の過程で被災することもあります」
なるほど……。とにかく水難に事欠かないということのようです。
ところで、気になるお値段ですが、困難さによって課金するのが妥当とのことをおっしゃられていましたが、だいたい、だいたい、おいくらくらいなのでしょうか?だいたい?
「1台30万円から、です」
これを安いととるか、高いととるかは、その組織次第、その人次第、そのデータ次第といったところでしょう。ですが、検討の際には、データが復旧すればいい、機器が直ればいいというだけでなく、「その業者は信頼できるのか?」ということも併せて検討する必要があるでしょう。復旧したデータが流出してしまってはお話になりません。
今後、みなさまのIT機器が水没や火災といったアクシデントに見舞われた際には、この記事のことを思い出していただけますと幸いです。
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