ベンダーコントロールにおける"第一の失敗"は、RFIのタイミングで起きる
IT部門がベンダーと最初に接点を持つのは技術的な調査を行うRFI(Requet For Information)という段階です。
業務ユーザーが実現したい要件をどうやって実装するのか、自分たちの課題を解消するのにどんな技術が役立つのか、そうした悩みに対する答えをベンダーが持っていれば、彼らの提供する製品やソリューションについて調達を検討します。
インターネット上には市場シェア、ユーザー事例に関する情報が散らばっています。あなたの期待に応えそうな見込みのある製品をいくつか候補に挙げることは難しくありません。そうして集めた情報は「ロングリスト」と呼ばれ、これから情報収集を深める製品を絞り込んだ一覧表として使われます。このロングリストから要件適合性の高い製品を2つ、3つに絞り込んだものを「ショートリスト」と呼び、これを整理できれば製品選定の目処が立ちます。
ショートリストを作るためには、ベンダー担当者とのコミュニケーションを重ね、一般的なケーススタディではなく、自分たち固有の要件への適合性を判断してもらう必要があります。
ベンダーコントロールにおける第一の失敗は、このRFIのタイミングで起きます。
IT部門はベンダーから製品を買うという立場です。しかも何百万円以上もする高い買い物をするのですから、自分が納得するまできっちりと説明を受けてから判断したいですよね。一般的に公開されている情報だけでは分からないのだから、ベンダーには、(1)こちらのニーズをしっかりくみ取る、(2)提案内容がこちらのニーズに合ったソリューションであることを説明する、もちろん(3)技術担当者から直接説明をしてもらう、くらいのことを求めるのは自然なことですよね。
そのためには、何度も打ち合わせを重ねて、設計ガイドラインや運用管理レベルで問題ないことを確認し、分からないことがあればベンダーの専門家に都度尋ねることができて、はじめて製品購入の判断に自信が持てるようになります。
しかし、立場を変えてみてください。
たとえば、あなたが業務ユーザーからの質問に答えるシステム担当者だったとしましょう。日々のシステム維持業務に忙殺されて毎日残業の日々です。そんな状況で、何人かの業務ユーザーから毎日次のような些末な質問を投げかけられたとしたら、どう感じますか?
「トップ画面の背景色ってどうして薄緑なの?白の方が見やすくない?」
「今のシステムを使ってどう業務を改善していけばいいかな?」
「一度こっちに来て直接説明してくれない?」