SCM(サプライチェーン・マネジメント)はもはや死語だと言われることがありますが、それはとんでもない勘違いです。付加価値を取引する経済社会が存在する限り、SCMは変化を繰り返しながら存在し続けるものなのです。流通業はもちろんのこと、あらゆる業界で生き続けるSCMについて学ぶことはITに携わる人間にとっても有効なことだと思います。この連載では、そんなSCMについて分かりやすく解説していきます。
はじめに
筆者がSCMと言う言葉に初めて接したのは今からちょうど10年前のことでした。14年間の海外工場勤務を終えて帰国した後も、しばらくは出張ベースで日本を離れることが多かったのですが、その関係の仕事も一段落して浦島太郎状態で会社の中を徘徊していたところを、ある重役に見付かったのがこの記事を書くことになるそもそもの発端です。
『これから全社にSCMを入れるから小野君手伝え!!』と言われ、『SCM・・・???』との恥ずかしい思いから、慌てて故福島美明氏の名著『サプライチェーン経営革命』を始め、SCMと題の付く本をありったけ買いあさって読んだところ、『しまった、もっと早くから勉強しておくべきだった』と痛感したことを憶えています。
前置きが長くなりましたが、この時の恨みもこの記事を書くことになった一つの動機なのです。
サプライチェーンは死んでいない!
当時は本当に多くの書籍が店頭に並んでいました。しかしそれも数年経つと、『SCMはもはや死語である』とか『もうSCMの時代は終わった』などと書かれた記事を目にするようになり、『えーっ、そんな馬鹿な!!』と思いました。
SCMとはサプライチェーン・マネジメントの略語ですが、これが意味するところは企業であれ個人であれ、何かの材料を手に入れて、それを色々な形で加工するなどして、それが欲しいと言う人のところへ提供するためのあらゆる活動なのです。
これについてあるアメリカ人の専門家は、『SCMは人類が経済活動を始めてから存在するもので、これからも消えて無くなる事はあり得ない。今騒がれているのはインターネットなどのITを活用したSCM改革である』と説明していました。
企業の中でも特に製造販売会社は原材料を調達して、それを製品に加工して、そしてお客様に販売するという活動をしていますから、これがSCMであることは割りと分かり易いものと思います。【図1-1】

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小野 耕司(オノ コウジ)
SCC日本支部専任事務局/バイスチェアマン、SCORアドバイザー
静岡大学客員教授、元ヤマハ株式会社SCM推進室長※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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