前回までは、SCORモデルを使って企業のサプライチェーンを可視化する過程を解説してきました。最終回の今回は、自社のサプライチェーンをより良いものへと改善していくためのヒントとなるプラクティスの存在を紹介します。
はじめに
「知識ゼロで理解するサプライチェーンマネジメントと業務改善」もいよいよ最終回になりました。
第一話ではお母さんの晩御飯の支度を例にサプライチェーンとは何かを考え、第二話ではサプライチェーンを階層構造で捉え、第三話ではサプライチェーンマネジメントには共通言語が必要であることを説明しました。その後、第四話ではサプライチェーンを記述するための手法、そして前回の第五話ではそのサプライチェーンを測定評価するための指標について解説してきました。
ここまでお読みになった方は、自分達のサプライチェーンを定義し、関係者に説明するためにそれを記述し、どこに問題があるのかを指摘することが出来るようになったと感じていることでしょう。実際の作業に着手するには専門のインストラクターによる指導を受ける必要がありますが、少なくとも『道筋』は見えたのではないでしょうか。
SCORモデルは測るだけ?
ここまでの話をデミング博士が提唱した管理サイクルPlan-Do-Check-Actに当てはめると、SCORモデルはPlan-Do-Checkまでをカバーしていると言えます【図6-1】。では最後のActはどうなのでしょうか。ご心配なく、SCORモデルにはプロセス記述手法と測定評価指標(メトリクス)の他に、課題解決のヒントとなる改革施策(ベストプラクティス)が400以上も紹介されているのです。
これらのヒントは全て階層的に記述され、測定評価されたサプライチェーンプロセスにマッピングされる形で紹介されています。単体のプロセスに適用される小さな施策から、多くのプロセスに広く適用される大がかりな施策まで、共通の言語と記号で表現されたプロセス上にマッピングすることで、同一のレベルで鳥瞰的に捉えることが出来るのです【図6-2】。
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- 自社のサプライチェーンを評価する
- SCORモデルで、世界中のどんな業界の人ともサプライチェーンの会話ができる
- この記事の著者
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小野 耕司(オノ コウジ)
SCC日本支部専任事務局/バイスチェアマン、SCORアドバイザー
静岡大学客員教授、元ヤマハ株式会社SCM推進室長※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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