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実務で役立つプロジェクトレビューの心得

情報マネジメントの効能

第2回

 単に、プログラマーの頭数を集めればシステム開発ができると思っている管理者がいるかもしれませんが、そうではありません。一昔前にはシステム開発とは無縁だったと思われるような人、たとえば営業マンが、開発に参加する時代になっているのです。このような状況下では、情報を管理しつつ、ステークホルダー(利害関係者)と情報共有していくことが大切になります。  今回は情報マネジメントの効能について解説します。

野球は9人ではできない〜マネジメントの必要性

 野球は何人でやるものでしょうか?

 9人と答える人が多いように思います。確かに野球のプレイは1チーム9人です。しかし、それ以外にも審判がいて、コーチがいて、監督がいて、と、草野球でもない限り9人で野球はできません。

 システム開発も同じです。時々、プログラマーを集めればシステム開発が出来ると思っている管理者がいます。確かに給与明細のコメントを1行追加するだけならそれでできるのですが、ある程度の規模があるシステムを構築するとなると、これは、プロジェクトマネジメントが必要となります。監督や、コーチにあたる人が必要になってくるわけですね。

 さて、野球では、2塁にランナーがいたとして、ライトにヒットが飛んだ場合、2塁ランナーは後ろから来る球が見えませんから、3塁コーチの指示を見て、3塁に止まるか、ホームに突撃するか判断するわけです。

 システム開発でも同じような機能は必要で、プログラム完成に没頭している開発受託側担当者に必要な情報を供給するにはプロジェクトレビューが有効です。プロジェクトレビューには有識者、ステークホルダーが多く参加しますから、一つの情報がトリガーとなって必要情報が連鎖的に出てくる効果があります。また、視点についても一つの指摘がトリガーとなって多様な指摘がなされます。まさに、関係する異なった立場のステークホルダーによるクロスファンクショナルな情報サプライが実現するわけです。

 プロジェクトリーダーや担当者は、こういったプロジェクトレビューの機能を活用し、節目毎に情報を集めることで、誤りの無いプロジェクトの舵取りが出来るわけです。

 もちろん、プロジェクトレビューと名前をつけてステークホルダーを集めて会議をすれば、こういった情報サプライが実現するかと言えば、そう簡単ではありません。

 システム開発は他人事と思っているステークホルダーが多い場合は特にそうです。

 プロジェクトレビューが単なる時点実績報告会になってしまわないためには、こういったプロジェクトレビュー開催の目的を事前に周知徹底しておく必要がありますね。やはり工夫は必要なのです。

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この記事の著者

菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)

独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管理の向上を実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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