節目毎の覚醒装置
何事にも熱中すると時間を忘れるのが人間です。進捗管理というメトロノームも重要で役に立ちますが、節目ごとに、ドン(注1)、時の鐘(注2)が必要ですね。
システム開発は長丁場ですから、ともすれば惰性に陥りがちになります。常に全体を見て、仕事の舵取り、必要なアクションをしなさい…と言われても、担当者としてみれば自分が責任を持って作り上げなければならないものが目の前にある場合、それに熱中するのはいたし方ありませんし、報告も、自分のためという実感は持ちにくいですから、タイムリーに上を向かせる設定をすることが大切です。
また、時期に応じてやらなければならない仕事が変わってくるのがシステム開発です。要件定義、設計書、仕様書作成、プログラム作成、テストケース作成、テスト実施、本番展開…と、システム開発は性格の異なる技術を要求される業務で構成されています。これを全て一人でこなすということも小さなシステムではありましょうが、一般的にはチームで役割を分け、連携して仕事を進めます。こういった場合全員が意識をするマイルストーンを配すのが効果的です。節目毎のプロジェクトレビューに向けて同期を取っていくことで、様々な業務がつながりを持って見えてきます。
もっとも、意識しない、また、見過ごす担当者もいますので、プロジェクトリーダーはオーケストラの指揮者よろしく指示を出すことを怠ってはいけません。
さらに、システム開発途中のタイムリーな業務棚卸も必要ですね。プロジェクトレビューを活用したチェックポイント・リスタートです。それぞれの時点におけるタスクの優先順位付け、選択と集中が基本動作として行われます。
こうした仕組みはシステム開発に係る開発依頼者にも効果的です。
開発依頼側担当者はシステム開発が自分の本来業務と理解してくれていても、システムエンジニアといわれる人たちが行う開発の実務に精通しているではありません。また、それぞれの所属する部門固有の業務を持っているわけですから、四六時中、開発受託者側担当者と二人三脚で動くというのも難しい。従って、開発受託者と同じように、いやそれ以上に時の鐘が必要ですし、マイルストーンを意識してもらわなければならないのです。
プログラムが出来上がりシステムが稼働するだけでは、システム開発することで実現を目指したビジネスは実現しません。タイムリーな連絡、必要な交渉、了解の取り付け、マニュアル作成、教育、等々、様々な業務がタイムリーに行われなければなりません。
プロジェクトレビューによる節目毎の覚醒効果は意外なほど大きなものなのです。
明治時代に午砲という正午を告げた、大砲の音。
世界的にも有名な、ロンドン・ウエストミンスター宮殿(イギリス国会)のビックベンも時の鐘。