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データ活用にかける人生!―ウイングアーク1st 島澤甲さん

BIツールは使ってもらってこそ

「BI製品は顧客に使ってもらってこそ」
「BI製品はお客様に使ってもらってこそ」

 その後も島澤さんはMotionChartに携わり、これに並行して新たなBI・ダッシュボード製品となる、「MotionBoard」の開発にも関わる。現在は会社の統合なども経て、ウイングアーク1st 開発本部 BI開発統括部 統括部長という役職につき、Dr.Sum EAとMotionBoardという2つのBI関連ブランドの製品開発責任者を務める。「2つの製品に価値を持たせ、約束どおりに世の中に提供するのが私のミッションです」と島澤さんは言う。

 本年2月に発売となったDr.Sum EAのバージョンは4.1で、4.0からはマイナーバージョンアップになるが、実はメジャーバージョンアップ並みの進化がある。

 「BI製品は、お客様に使ってもらってこそです。お客様にメリットがないものを作ってもしょうがない。そのために今回は徹底的に使い勝手の向上に努めました。ビッグデータの活用が拡がる中、それを分析するために専門の知識を兼ね備えたデータサイエンティストという職業が注目を浴びるという流れがありましたが、いまや、データ分析は一部の専門家だけでなく、エンドユーザーが自らデータを使いこなす時代です。とはいえ、データをインポートするのにSQLを求めるのでは、初心者お断りになってしまいます。4.1ではマウス操作だけで必要なデータを、エンドユーザー自身の手で取り込めるようにしました」

 もう1つこだわったのがスピード。ウイングアーク1stには、品質保証の規定で前バージョンより速度が遅い機能があると出荷できないという決まりがある。今回のバージョンアップで島澤さんは「倍速」という目標を立てた。これは、マネージメントとして開発現場と会話し、いけるという反応を得たからこそ掲げたもの。結果的にはほとんどの機能で2倍以上の速度を達成し、速くなるものは10倍以上の性能向上を達成した。

 「Dr.Sum EAは、もともと他のリレーショナルデータベースなどに比べると高速という評価をもらっています。しかし、ビッグデータという言葉が出てきてユーザーの扱うデータも数千万件から数億件の規模に拡大しています。数千万件でも数秒で返せる、数億件になっても同じように返す。それには、これぐらいの性能向上は当たり前でした」(島澤さん)

 ユーザーはデータ数が増えても今までと同じレスポンスを求める。それがユーザーの期待に応えることであり、そのレスポンスの速さがあればこそできることが分析の際にユーザーの思考を中断しない「使えるBI」になる。

徹底的に顧客に寄り添った形での拡張

 もう1つの製品MotionBoardは「今は自分のイメージの50%くらいを実現したところです」と島澤さん。BIツールの基本機能はMotionBoardではすでに網羅した。その上で目指すのが、MotionBoardだけで「お客様の業務にイノベーションを起こすこと」だと言う。単に情報を自由に見られるだけでなく情報の入力も行えそこから新たなアクションにも結びつけられるもの、BIから入ってSFAやCRMなど顧客の業務そのものを支援するシステムの実現を、目指しているのだ。

 そのためMotionBoardは、徹底して顧客に寄り添った形で拡張を続けている。たとえばExcelの情報を取り込む場合にも、ETLツールのようなものを用意したり追加の作業を必要としたりするのではなく、ユーザーが日常的に利用しているExcelデータをそのまま取り込めるよう、機能を作り込んでいる。この発想はDr.Sum EAでも同様だ。

 「5月に提供予定の最新版Ver.5.5では、海外など各地に散らばっているExcelファイルも、それぞれが更新したタイミングで自動的にMotionBoardに集約される機能が追加されます。さらに新しい連携機能によって、遠隔地の情報を自動的にMotionBoardに集めてくることもできます」(島澤さん)

キャプチャ画像入る
倉庫間のモノの移動状況も見える化できる

 表示が美しく、インターフェイスが使いやすいのは今や当たり前。その上で、現場の業務をリアルに使いやすいものにできるか。それにはユーザーの作業の本質に迫って開発しなければならない。日本でそれができるのがウイングアーク1stの強みでもあり、実際に島澤さんはかなり頻繁に顧客やパートナーのもとに赴き、現場のリアルなフィードバックを受けることに時間を割いている。

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3000年かかる処理を1月で終わらせる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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