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“インテリジェンス”で脅威を特定する次世代SIEM、「IBM QRadar」の持つ技術力

「デプロイ期間が短い」「より多くのアノマリ異常を検出できる」「誤検知が減った」など顧客から高い評価

 QRadarはベース製品とオプションから構成されている。ベース製品に含まれるのがログマネージャーとSIEMの相関分析だ。  

 オプションではモニタリングやフォレンジックに役立つツールが各種用意されている。フロー収集には「QFlow Collector」、リスク管理には「QRadar Risk Manager」、脆弱性の可視化には「QRadar Vulnerability Manager」、インシデントフォレンジクスには「QRadar Incident Forensics」という具合だ。セキュリティ監視に必要なものがワンコンポーネントでまとまっている。

▲図6:製品ラインナップ

 システムコンポーネントとしてはイベントログ情報の収集は「Event Processor」、ネットワーク情報はQFlow CollectorとFlow Processorがあり、加えて「Console」からなる。規模に応じていくつかのモデルが用意されており、QRadar各コンポーネントを1台にまとめたオールインワンアプライアンスもある。スモールスタートできてスケールアウトが可能となっている。  

日本IBM ソフトウェア事業 セキュリティシステムズ事業部 テクニカルセールス&ソリューションズ 中田尚志氏

 さらにQRadarだと早期導入が可能となる点も優位な特徴だ。一般的にSIEM製品で運用を開始するまでには、コンサルタントが企業の方針や状況に合わせてルールをほぼ手作りすることになる。ログの選定から始まり、相関ルールの検討からルールの設計、作成、検証などを経てようやく運用開始にこぎつける。これらは必要な行程とはいえ、この期間にコンサルティング費用がかかることを忘れてはならない。  

 「SIEMの実装にかかる平均期間で比べると、従来型のSIEMでは15.5か月かかるところ、QRadarでは5.5か月と圧倒的に短い。QRadarでは相関ルールの検討から検証までがテンプレートを利用することで凝縮できます」(中田氏)

 導入までの時間を短くできるということは、コンサルタント費用をその分圧縮できる。だから導入までのコスト削減につながるというわけだ。実際にQRadarを導入した顧客からは「デプロイ期間が短い」のほか、「より多くのアノマリ異常を検出できる」、「誤検知が減った」などの評価が寄せられているという。  

 ある事例では、継続して発生している不正な攻撃をセキュリティ機器によりブロックできていたものの、発信源を突き止められず放置していたそうだ。QRadarを導入することで原因を特定できて、発信源からの攻撃を遮断することに成功した。「被害を食い止められていた」という点ではQRadar導入以前と変わりないが、放置するか遮断できるかは大きな違いだ。QRadarならより高度なセキュリティ監視が実現できる。  

 中田氏は「QRadarはあくまでも運用の労力を減らすためのツールです」と念を押す。導入すれば攻撃を防げるというものではない。イベント監視や分析の効率性を高めるためのものだ。セキュリティ機器をすでに複数導入していてログを取得していつつも、データ分析やルール作成に手間がかかりデータを生かしきれてない現場であれば、QRadarの持つ高い技術力で、セキュリティ運用担当者の業務効率を飛躍的に高めることができるはずだ。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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