理想とするストレージ環境とは?
第1回目の記事「今データセンターで何が起きている? Software-Defined Data Centerとは」では、仮想化によってシステム統合が実現したものの、第2回目の記事「今データセンターで何が起きている? 仮想化によって明らかになったストレージの問題点」で解説したような問題で、アプリケーションのストレージ要件によって、ストレージシステムがサイロ化してしまい、うまく統合されていないということを述べてきました。では、本来理想とするストレージ環境とはどのようなものでしょうか。
ストレージシステムのサイロを生まないためには、あらゆるアプリケーションの要件に応えられる単一のストレージシステムが必要です。容量(キャパシティ)、性能(パフォーマンス)、データ保護(可用性)、バックアップ、セキュリティなど、アプリケーションごとに様々に異なるこれらのストレージ特性の要件に対して、応えることができる理想的なストレージシステムです。
また、湯水のようにコストを掛けても良いものでもありません。つまり、必要なときに、必要なだけのストレージ特性を利用できなくてはならないのです。サーバーにおいてCPU・メモリなどの特性を必要なときに、必要なだけ提供することを実現したのが仮想化でした。今はそれがストレージにも求められているのです。これを実現するのがSoftware-Defined Storageです。
Software-Defined Storageでは、仮想マシン(アプリケーション)が必要とするストレージ特性を単一のストレージシステムからソフトウェアで提供できるようになっています。従来からソフトウェアでの提供が実現していたデータ保護やバックアップ、セキュリティに加え、これまではソフトウェアの提供が難しかったパフォーマンスについても、フラッシュや分散ストレージの登場によって、ソフトウェア制御で柔軟な提供が可能になっています。
こうしたシステムの登場によりデータセンタのストレージは大きくその形態を変えつつあります。単一のシステムで様々なアプリケーションに対応できるようになったため、これまでアプリケーションごとに多様化していたストレージは別の方向へと進化を始めているのです。