サーバー運営管理のための高価な設備、リソースを無駄遣いせず、効率よく利用したいとお考えの方は、サーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」のことをご存知でしょう。
vSphereが2015年に6.0へとバージョンアップされたことを機に、翔泳社では11月17日(火)、『VMware徹底入門 第4版 VMware vSphere 6.0対応』を刊行しました。本書はVMwareの日本法人であるヴイエムウェア株式会社みずからによる解説書。同社のエンジニアが培ってきた知識と知恵が凝縮した1冊です。
11月10日(火)には、ヴイエムウェア主催のvForum Tokyo 2015にて本書のお披露目座談会が行なわれました。そこで、エバンジェリストの桂島航さん、プリセールスSEの岩下知佳さん、本書第1版から携わっておられる西田和弘さんから、本書の魅力を紹介していただきましたので、その全容をお伝えします。
ヴイエムウェアのエンジニアが総力をかけた解説書
桂島:皆さま、本日はお集まりいただきありがとうございます。私はヴイエムウェアのエバンジェリストで、著者というより監修として参加しました。ですので、今回は著者の代表お二人にどんな本なのかうかがっていければと思います。よろしくお願いします。
中央にいらっしゃる岩下さんは、ヴイエムウェアのコアSEの1人として活躍されている方です。自己紹介をお願いできますでしょうか。
岩下:皆さん初めまして。九州で活動しているプリセールスSEの岩下と申します。今回第4版においては、第3版でおまけのように扱われていたvRealize Operations Managerを独立した章として扱うことになり、「第13章:仮想基盤の運用管理」を担当させていただいております。よろしくお願いいたします。
桂島:ありがとうございます。次に西田さんをご紹介します。西田さんはヴイエムウェアSEの中でも重鎮といっていい存在で、今回の徹底入門では技術リーダーとして活躍された中心人物です。それでは簡単に自己紹介をお願いします。
西田:ヴイエムウェアの西田です。入社して9年くらいで、『VMware徹底入門』の第1版から携わっています。今回技術リーダーを務められたことは、非常に感慨深いものがあります。紹介いただいたように、第4版ではすべての章の監修をしており、執筆は「第12章:vSphereのパフォーマンスの管理とチューニング」を担当しました。
初心者から利用者まで、すべての技術者に役立つ
桂島:さっそく本書についてうかがいましょう。まず、本書はどんな読者を想定しているのでしょうか。
岩下:本書は基本から応用まで、すべての要素を網羅しています。ですから、いまvSphereを触っている方にも読んでいただきたいんですが、これから触ってみようかなと思われている初心者の方にもぜひとも読んでいただきたいと思っています。初めて触れる方が消化不良にならないように、なぜこの機能が必要なのかなど、「なぜ」を重点的に書いています。
私はヴイエムウェアに入社する前はハードウェアメーカーに在籍していました。あまり仮想化に関して知識がなかったんですが、勉強するとき初めて用いたツールが本書の第3版でした。非常に効率的に網羅されているので、有効な学習ツールとして利用してほしいです。
桂島:実際に『VMware徹底入門』で自分が育てられたという経験がある岩下さんが著者の立場になられたというのは面白いですね。第1版から携わっている西田さんはいかがでしょうか。
西田:第1版の頃は、どちらかというと入門書という位置づけが強かったんですが、第2版、第3版となるにつれて、お客さまの要望を反映するようにしています。特に第4版はそうなんですが、クラウドとのコスト比較や運用管理を効率よくするにはどうすればいいのかという声をいただいていますので、単純に仮想化するための方法だけでなくて、そういった要素も反映した内容にしています。基本から最新技術まで、オールラウンドに解説した1冊なので、すべての技術者にとって役に立つ本になったかなと思います。
2012年の第3版との違いは?
桂島:一方で、第2版や第3版をすでに持っている方もいらっしゃると思います。そういった方が第4版を買う価値というのはどこにあるのでしょうか。
岩下:本書にはヴイエムウェアのすべてのエンジニアが携わっています。その叡智がぎゅっと詰まっているんですね。なので、導入前、導入中、運用中など、すべてのフェーズにおいて発生するであろう課題を解決できる指南書に仕上げることができました。
第4版に関しては、単純に機能を説明するのではなく、なぜその機能があると嬉しいのかというユーザー視点で書かれていることが大きいと思います。第3版より分かりやすくなり、どの技術をどういうシーンで使えばいいのかが理解しやすいようになっています。
西田:私は執筆する際に明確なテーマを三つ決めていました。第3版まではvSphereの技術解説本という位置づけだったんですが、第4版では最もベーシックなところから書いています。そして仮想化技術をよりよく使っていただくために、パフォーマンスのモニタリングやチューニング、運用管理ではキャパシティのマネジメントなど、より実践的な使い方を解説しています。最後に、パブリッククラウドやネットワーク仮想化など最新技術を紹介しました。これらがいままでと違うところですね。
すべて理解すれば、ヴイエムウェアのエンジニアより詳しくなれる
桂島:ありがとうございます。最後の質問になりますが、本書を執筆していたときの苦労話や、特に読んでほしい部分はありますでしょうか。
岩下:最初に苦労したのは、書きたいことがありすぎてページ数が多くなり、西田さんに怒られ続けたことです(笑)。ですが、なるべく具体的に書こうと努めました。イメージしやすいようにシナリオを用いるなど、読者の方の環境に当てはめやすいようにしたんです。具体的な利用シーンはどういうものだろうと考えたり、ほかのエンジニアに尋ねたり、日々お客さまから受けるご相談を参考にしたりしたので、皆さんにとって当てはまりやすいシーンが書かれていると思います。
桂島:書きたいことがたくさんあるということは、資料もたくさんあるということなんですね。それをすべて読むのは大変ですから、厳選してまとめたのが本書というわけです。資料は英語が多いので、日本語で書かれている解説書というのは価値があると思います。
岩下:私が担当した第13章は最もボリュームがありますが、なんとか読んでいただければと……これでも削減したほうなので(笑)。
桂島:そうですね、西田さんに減らせと言われて、でも減らしたくない岩下さんが喧嘩していたのを覚えています。
西田:勝手に減らしました(笑)。
桂島:それだけ気合いが入っている部分ですので、ぜひ読んでいただきたいなと思います。西田さんとしては、苦労した点はありましたでしょうか。
西田:それぞれの章で書いてほしいポイントを著者にお伝えしたんですが、レイアウトや文体もばらばらですから、各章をストーリー立てて、レベル感を合わせることに苦労しました。
桂島:全体は20から30人ほどで執筆していますから、そうするとレベル感や分量の差も出てきます。そういったところをまとめることができたのは西田さんのおかげですね。
西田:私が書いたのは第12章だけなんですが、お客さまにとってはここが最も関心のあるところでしょう。ですので、この章は時間をかけました。特に、いままではパフォーマンスに関する情報を開示していなかったんです。ですが、非常に重要な情報なので今回は掲載しています。
桂島:本書は最初の7、8章までは平易ですが、全体ではとても深いところまで書かれています。本書を読まなかったとしたら、読んだ人と比べてどれくらい差がつくのでしょうか。
西田:内容的にはかなり詳しく踏み込んでいますので、ヴイエムウェアのエンジニアでも知らないことがかなりあります。ですので、すべて読み通せばうちのエンジニアよりも詳しくなれるかもしれませんね。
桂島:初めての方からすでに利用されている方まで、中の人でも学べるものですので、ぜひお手に取っていただければと思います。本日はご聴講、ありがとうございました。
『VMware徹底入門 第4版 VMware vSphere 6.0対応』目次
- 第1章:最新VMware vSphere 6.0の概要
- 第2章:VMware ESXi 6.0とvCenter Server 6.0の導入
- 第3章:vSphereによるCPU・メモリの仮想化とリソース管理
- 第4章:vSphereによるストレージの仮想化とリソース管理
- 第5章:vSphereによるネットワークの仮想化とリソース管理
- 第6章:仮想マシンの作成と管理
- 第7章:ライブマイグレーション
- 第8章:vSphereクラスタによる動的配置とリソース利用の最適化
- 第9章:vSphereクラスタによる高可用性機能
- 第10章:仮想マシンのバックアップと災害対策
- 第11章:vSphereの設計のベストプラクティス
- 第12章:vSphereのパフォーマンスの管理とチューニング
- 第13章:仮想基盤の運用管理:vRealize Operations Manager
- 第14章:vSphere環境のアップグレード
- 第15章:ネットワーク仮想化
- 第16章:Software-Defined Storage
- 第17章:Software-Defined Data Center
- 第18章:VMwareが提供するパブリッククラウド