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追加開発の失敗で、元の開発プロジェクトまで中断させてしまった事件
【名古屋地方裁判所 平成16年1月28日判決より抜粋して要約】
ある地方自治体(以下 ユーザ) が、ソフトウェア開発業者(以下 ベンダ) に財務会計システム等の導入を委託した。ベンダは自社の持つパッケージソフトを元に、これを開発して機能別に順次導入していき、この時点では、プロジェクトは順調に進んでいた。
開発プロジェクトが進む中、ユーザの税務課では、同じパッケージソフトを利用した税務システム(サブシステム) を追加開発の導入を企画し、ベンダに見積もりを要望したが、ベンダ側からの見積もり金額がユーザの想定を大きく上回っていたことから、これを認めることができず、税務システムについては断念することとなった。それと同時に、それまで続けていた財務会計システムの開発も中断することとなった。
ユーザは、プロジェクトが中断したことについて、ベンダの債務不履行にあたるとして、それまでにユーザ側にかかった費用等を損害とし、その賠償を求めベンダを訴えた。
いくつかの疑問が浮かびます。まず、いくら税務システムの商談がうまくいかなかったからといって、なぜ先行していた財務システムまで中断したのかということです。ここでは書ききれませんでしたが、どうやらこの財務会計と税務システムは不可分のもので、少なくともユーザは税務なしでの財務会計では元々のシステム化の目的を果たさないと考えていたようです。
(これは想像ですが、税務システムの商談においてユーザとベンダの関係がかなりこじれてしまったのかもしれません。通常、こうした事例では、ベンダがそれまで行った作業に対する費用を請求するのが先なのですが、この事件では、先にユーザがベンダに損害賠償を求めています。つまり、ベンダ側は、これまでの作業を無駄にしてでもユーザとの関係を断ち切ってしまいたいと考えたのかもしれません。憶測が入ってしまいましたが、この部分は、今回の主旨とは直接関係しない部分ですのでご容赦ください)