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「テレワークする営業」で新しい女性の働きかたのロールモデルを拓くー日本オラクル 小川千春さん

 「Oracle Women’s Leadership(OWL)」という活動がある。これは「ともに成長するイノベーティブな職場であるために、現在および未来のオラクルの女性リーダーを成長させ、巻き込み、活力を与える活動を行う」ことを目標としたコミュニティだ。2006年に米国で始まり、2011年には日本でも活動を開始している。「OWLは、(多様な人材を積極的に活用する)ダイバーシティをオラクルの中で進めるための活動です」と言うのは、日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 サービスクラウド統括本部 エンタープライズ営業部 担当ディレクターの小川千春さんだ。

「営業担当のテレワークは難しい」を払拭したい

日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 サービスクラウド統括本部 エンタープライズ営業部 担当ディレクター 小川千春さん
日本オラクル
クラウド・アプリケーション事業統括 サービスクラウド統括本部 エンタープライズ営業部
担当ディレクター 小川千春さん

 OWLの活動には、日本オラクルで働く女性たちが数多く参加している。参加者の職種はさまざま。小さな子どもがいてワークライフバランスをうまく調整したい立場の人もいる。

 「子どもがいる人がテレワークを利用することで働きやすい環境を作る。それを推進したいと考えた際に、職種的にテレワークが無理だと思われている、営業職の自分が率先してテレワークをやってみようと考えました。そうすることで、後輩の女性社員などがテレワークをやりやすいのではと思ったのです」(小川さん)

 テレワークを実践するには、会社がそれを認め、その働き方を上司が承認してくれる必要がある。古い体質の企業では、営業担当の直行、直帰を禁止するといった統制の厳しいルールを持つ会社もある。そういった会社の営業担当者が、テレワークを取り入れるのはかなり難しい。そうすると子育てをしながら働くことができず、会社を辞めるか、営業職から時短勤務などが可能な部署に異動する必要があるだろう。

 幸いにして日本オラクルは、古いタイプの会社ではない。テレワークを行う柔軟な勤務制度やITインフラが整っており、成果を出せば上司からも信頼を得られテレワークでも問題はない。

 「フェイス・トゥ・フェイスじゃないと仕事の進め方を上司と相談できないようでは、テレワークは困ります。オラクルでは、普段から電話やメールですぐに相談しています。外出先からいったんは会社に戻らなければならないといった、無駄なルールもありません」(小川さん)

テレワークでも会社と同じ生活のリズムを維持する

 小川さんは、子どもが親から「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」といった言葉をかけてもらうことが大切と考えている。

 「学校で何かあっても、お帰りなさいの言葉で救われることもあります。何か嬉しいことがあったときも、お帰りなさいの言葉はやはり重要だと思います。毎日とは言わず週に何日かでも、お帰りなさいと言ってあげられると子どもたちの安心感につながるのではないでしょうか」(小川さん)

 日本オラクルでは、在宅で業務を行うテレワーク制度「Work@Home」を2002年から試行開始し、2004年に正式に全社展開している。Work@Homeでは、子どもが急に病気にかかった際などに、通院などをどうやって行えばいいかのガイドラインもあるという。Work@Homeを活用することで、柔軟な働き方を実現しさまざまなことがあっても仕事を長く続けられるようにするのだ。

 Work@Homeとは言うものの、その根底となる考え方は「時間や場所に依存しない働き方=Work at Everywhere」だ。ITを活用し、柔軟な業務のやり方でどこにいても仕事ができるようにする。とはいえ、小川さんの場合は、自宅か会社のどちらかで仕事をするようにしている。自宅と会社に限定することで、テレワークの際にも規則正しい生活のリズムが維持できると考えたからだ。

 「在宅で勤務する際にも、朝起きて普段会社に到着する9時には仕事が始められるように準備します。化粧をしてスーツも着ます。通勤の時間がないので、家事に当てられる9時ぎりぎりまでの時間はかなり貴重です」(小川さん)

 自宅でのテレワークの際には、9時から業務を開始。まずはメールなどのチェックを行う。必要ならば、すぐにテレカンファレンスも実施してコミュニケーションをとることに。「外資系の企業に勤めていると、テレカンファレンス文化は当たり前のところがあります。上司が海外にいることもあるので、電話でのコミュニケーションはなんら失礼にもなりません」(小川さん)。メールや電話、テレカンファレンスを行う場所が家なのか会社なのかだけの違いであり、それで仕事の中身が場所で変わるわけではない。

 昼食休憩の時間も、基本的には12時から13時の1時間を充てるようにしている。もちろん客先訪問の予定があれば、自宅から直接訪問する。移動の合間にカフェなどでメールのチェックをすることはあるが、そこで本格的に仕事をするわけではない。

 小川さんは、現状、週1日程度テレワークで働いている。しかし、担当している顧客からは、小川さんがテレワークで働いているのかどうかは分からないだろうと述べる。オラクルではソフトフォンの仕組みを使っており、会社にいても自宅にいても名刺に書かれている番号1つで電話を受けることができる。他にもネットワーク上の資料共有の仕組みも活用しており、営業活動の日報などには自社サービスであるOracle Sales Cloudを活用している。上司もOracle Sales Cloudの上で部下の行動を把握しており、テレワークでもオフィスワークでも管理の手間などは特に変わらない。こういったITインフラ環境が整っていることも、テレワークが容易に実現できることにつながっている。

 日本オラクルの社内には「コンセントレーション・ブース」というスペースがある。電話や私語を禁止し、集中して作業を行うスペースだ。テレワークもこれと同じで、提案書などを作成する際に集中的に作業するのに向いている。

 「普通に会社でやっていることが、そのまま家でもできます。集中しやすい分だけ、テレワークのほうが効率は高いかもしれません」(小川さん)

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女性が長く働くためのロールモデルを作る

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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