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週刊DBオンライン 谷川耕一

2016年はサブスクリプション型ビジネス元年、サブスクリプション型への移行には何が必要か

 ものの所有から利用へ、サブスクリプション型のビジネスモデルが台頭している。製品を作って売るビジネスモデルでは、もはや企業の成長は頭打ちだ。これまでは、価値の高いであろう機能をベンダーが考え実装してきた。ところがそれらが本当にユーザーにとって価値があるとは限らない。そんな中、サブスクリプション型のビジネスが、既存市場の常識を覆し顧客との新たな関係性を築いている。今や、すべての業界でフロー型からストック型へのビジネス変革が起こっている。

あらゆる業界でサブスクリプション型ビジネスによる変革が始まっている

 実際にどんなところで、サブスクリプション型ビジネスへの変革が起こっているのだろうか。もっとも分かりやすいのは、クラウドコンピューティングの普及だ。マイクロソフトのOffice 365、会計サービスで有名なfreeeなど、ハードウェアもソフトウェアもユーザーは所有せずにサービスをネットワーク越しに利用する。支払うのは利用した分だけ。これらは、まさにサブスクリプション型ビジネスの典型だ。

 面白いところでは、ひげ剃り用のカミソリのビジネスもサブスクリプション化しつつある。男性でひげ剃りにT字型カミソリを愛用している人は、替え刃購入時に「高いな」と思ったことがあるだろう。しかしT字型カミソリ市場は2社ほどのメーカーがほぼ独占しており、選択肢が多いわけではない。どちらのメーカーを選んだとしても、替え刃はそれなりの値段となる。

 もちろんメーカー側は刃の枚数を増やしたり、動きを3D化したりとさまざまな工夫をして、顧客に値段相応な価値を提供しようとしている。しかし、それら機能が本当に「ひげ剃り」に必要かどうかは、少し疑問だったりもする。

 そんな時に登場したのが、「DOLLAR SHAVE CLUB」という会社だ。この会社は、替え刃を1ヶ月単位の課金でユーザーに届けるサービスを始めた。

DOLLAR SHAVE CLUB

 価格構成は極めてシンプル。2枚刃を5つで月にたったの1ドルだ。より切れ味の良い4枚刃を4つなら6ドル、さらに6枚刃を4つなら9ドルとなっている。米国などでは年間で1万数千円の費用をひげ剃りのために支払っているとの調査結果もあり、この価格設定はかなり安価だ。今ではこの会社、スキンケア用品などにもサービスを拡大しており、すでに70億円以上の資金調達にも成功している。

 当然ながらライバルとなるサービスも登場している。日本でも似たようなサービスがすでに始まっている。さらには、既存のカミソリメーカーも重い腰を上げつつある。しかし、既存ビジネスの流通経路などのしがらみを一切断ち切る分けにもいかず、少し中途半端なビジネスモデルに止まっているようだ。

 その他にも、「OneGo」という会社は、サブスクリプション型の飛行機乗り放題サービスを開始している。この動きは海外ばかりでなく日本でも始まっている。ガリバーインターナショナルは、月定額で好きな時にクルマを乗り換えることができるサービスを開始すると発表した。クルマの世界では、すでにカーシェア型のレンタカーシステムも首都圏を中心に広がっている。もはやクルマは、所有するから利用する時代へと変革していると言えそうだ。

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単に月額課金するだけではダメ

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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