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週刊DBオンライン 谷川耕一

元セールスフォース社長の宇陀氏がチャレンジする社会問題を解決する会社とは


 クラウドコンピューティングの本命は、PaaSより上位のレイヤーだとの話題はここでも何度か取り上げた。実生活では、蛇口をひねればきれいな水が必要なだけ得られる。あるいはコンセントにプラグを挿せば、必要な分だけ電気を使うことができる。こういった公共インフラのサービスと同じように、ITのサービスを受けられるようにする。それがもともとのクラウドコンピューティングの発想だった。多くの企業は、便利だと言われるPaaSすら使いたいわけではなく、なるべく手間をかけずに業務処理をクラウドコンピューティングで実現したいだけなのだ。

インダストリーに特化したSaaSがこれからは伸びる

 とはいえ、IaaSやPaaSは、企業独自の価値を得るために今後も活用され続けるだろう。その上で、より多く利用されるようになるのが、SaaSだと考えている。そして会計や人事など、あらゆる業種、業態の企業が利用するERPアプリケーション領域の汎用SaaSだけでなく、業界や業種に特化した業務処理に対応するSaaSがこれからはより求められるようになるはずだ。

 この用途が特化したSaaSは「インダストリーSaaS」とも呼ばれる。実際、Oracleなどは、このインダストリーSaaSの領域にあるテクノロジーやサービスを積極的に買収しており、自社のSaaSラインナップに加えている。SaaSのビジネスで先行するセールスフォース・ドットコムも、インダストリーに特化したパートナーのソリューションを積極的に支援していくと表明している。

 そんなインダストリーSaaSの世界に挑戦し実績を上げているのが、ユニファイド・サービスだ。同社が提供している「Unisrv 電力CIS」は、電力小売事業者を支援するSaaS。2016年4月に、日本で電力の全面自由化が始まったことはご存じだろう。これにより一般家庭も今まで契約していた地域電力会社だけでなく、さまざまな企業と電力使用の契約を結べるようになった。この電力業界の変革で、電力の小売事業に参入する企業が増えている。資源エネルギー庁の情報を見ると、平成29年1月17日現在、374事業者が小売電気事業者として登録されている。この数は、毎月のように増加しているようだ。つまり、「Unisrv 電力CIS」は、小売電気事業者という限られたビジネスを行っている企業向けに特化したクラウドサービスなのだ。

 「Unisrv 電力CIS」を手がけているユニファイド・サービスの代表取締役会長として、インダストリーSaaSのビジネスを推し進めているのが、元セールスフォース・ドットコムの日本法人社長だった宇陀栄次氏。ユニファイド・サービスは、もともと宇陀氏が立ち上げに関わった会社。創業は、宇陀氏がセールスフォース・ドットコムの日本法人社長になる頃の2004年だ。現在のユニファイド・サービスの代表取締役社長 兼 COOである成瀬修氏と宇陀氏が、ポータルサービスのプラットフォームを提供する会社として始まった。

左から、宇陀氏、鈴木氏、成瀬氏

 ユニファイド・サービスは、宇陀氏が代表でビジネスを開始する予定だった。しかし、ちょうど時を同じくしてセールスフォース日本法人社長の打診があり、結局はそれを引き受けることになる。当初は、双方のビジネスを行うことが条件だったが、結局は利益相反の懸念もありユニファイド・サービスの代表を成瀬氏に託した形となっていた。

 その後、2014年4月に宇陀氏はセールスフォース・ドットコム日本法人の代表取締役を退任し、取締役相談役となった。その後、取締役も退き顧問となったことで、利益相反の心配もなくなりユニファイド・サービスの代表に復帰した。宇陀氏が離れた後もユニファイド・サービスは、オープンソースベースのポータルプラットフォームのビジネスで順調にビジネスを拡大していた。宇陀氏が復帰してからは、それに加え新しく変化する電力業界に特化したインダストリーSaaSのビジネスを始めたのだ。

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制度が曖昧な時にはクラウドにビジネスチャンスあり

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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