「外から見たCAのイメージと中から見たCAのイメージは大きく異なる。外から見ているとまだまだ汎用機、マネージメントツールのイメージが強いが、CAは既にアジャイル開発、DevOpsの主軸プレイヤーだ」――そう語るのは、昨年4月に日本CAの代表取締役社長に就任した反町浩一郎氏。日本CAは今年で創立20周年を迎える。本社のCA Technologiesも昨年40周年を迎えており、両社ともにIT業界では長い歴史を持つ企業となっている。20年以上続く企業は1%程度しかないとも言われているが、変化の激しい中で日本CAは20年間続いているだけでなく、20数名だった規模がその10倍にまで成長するに至っている。
アジャイル、DevOps、マイクロサービスの3つすべてを揃えているのはCAだけ

反町氏が就任してからの1年、日本CAのビジネスは概ね好調だったようだ。「昨年、デジタルトランスフォーメーションのベストサポーターになると言いましたが、1年でこのCAのそのコンセプトが具現化してきました」(反町氏)。「企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートする」、これは今や多くのベンダーが口にするメッセージだ。とはいえ現実は、デジタルトランスフォーメーションによるビジネスの革新にはまだ取り組めていないか、取り組んでいても具体的なメリットを享受できていない企業がほとんどだ。
特に日本はデジタルトランスフォーメーションでは出遅れている。デジタルトランスフォーメーションがビジネスに及ぼす影響度を国別に指標化した調査の結果を見ても、主要21カ国のうち日本は16位とかなり低いポジションとなっている。IT先進国である欧米諸国が日本より上位にいるのは予測の範囲だが、インド、タイ、ブラジル、インドネシアなどのIT発展途上国とも言えるような国々が上位を占めているのは興味深い。これらIT発展途上の国では既存ITシステムによる「過去のしがらみ」がないため、新しい取り組みに積極的に取り組める。デジタル化を進めるこのような条件の違いが、保守的な日本との大きな差として現れているのだろう。
デジタルトランスフォーメーションにまだ取り組んでいない、あるいは取り組んでいても部分最適でなかなか全体最適に至っていない状況がある。CAではこの状況を解消するために、「モダン・ソフトウェア・ファクトリ」というコンセプトを掲げている。これはソフトウェアの開発を工場に見立てて進めるもの。工場でものを作るのと同じようなプロセスでソフトウェアを作り、評価し、改善するサイクルを迅速に回すのだ。
ソフトウェア開発の場合は、計画の段階から開発のところをアジャイル開発の技術が担う。開発からオペレーション部分はDevOpsとなる。さらに開発の俊敏性を高めるためには、マイクロサービスの技術を活用する。「この3つすべてを持っているのは、CAだけです」と反町氏は言う。
CAでは買収と自社開発の2つの投資を行い、これら3つの部分のポートフォリオを急速に拡充している。開発したアプリケーションのセキュリティチェックの機能を自動化する「VERACODE」なども、つい最近新たに買収している。技術買収では、そのソリューション領域でトップ3に入るような高度で実績ある技術を買収しているとのこと。市場で真に強い部分を取り込むことで、モダン・ソフトウェア・ファクトリのコンセプトをいち早く実現している。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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