
現在、業界の垣根を越えて大きな検討課題となっているのがIoTセキュリティだ。IoTが今後、産業や社会インフラの領域に広く定着していくうえで、セキュリティの問題解決は避けては通れない。ICTソリューションベンダーで通信機器大手の中国・華為技術(ファーウェイ)もIoT時代を見据え、セキュリティソリューションの開発に積極的に取り組んでいる企業だ。様々な標準化団体でセキュリティ分野のボードメンバーを務める同社セキュリティ担当CTO、トビアス・ゴンドロム(Tobias Gondrom)氏は、「IoTサイバーセキュリティはファーウェイ1社だけでは完結できない。顧客、パートナー企業、業界団体や標準化団体と連携して、エコシステムを構築し、成熟させていくことが必要だ」と強調する。
2020年には500億個のデバイスがつながる
「ICTの産業はIoTが最後の戦場になると言われている。あらゆるものがつながるからこそ、これまで以上にセキュリティの重要性が問われてくる」
ファーウェイのセキュリティ担当CTOのトビアス・ゴンドロム氏は開発分野で20年以上の経験を持ち、多数のグローバル企業でCISO(最高情報セキュリティ責任者)を務めた経験を持つ。標準化団体においても、IETF(Internet Engineering Task Force)では2003年からDOTS(DDoS Open Threat Signaling)などのワーキング・グループ議長やセキュリティ理事会、管理監視委員会メンバー、IETFトラスト チェアなど要職を務めた経験を持つ。

ファーウェイのセキュリティ担当CTO トビアス・ゴンドロム氏
「2020年には500億個のデバイスがつながるようになる。これは驚くべきことではない」とゴンドロム氏は続ける。
IoT市場への期待は大きい。日本では「Society 5.0」、ドイツでは「Industry 4.0」、米国では「Industry Internet」、中国では「Internet+」、シンガポールでは「Smart Country」というように、先進各国においてIoTの推進は成長戦略の重要な柱となっている。
一方で水、都市、電力網、交通、金融……あらゆる社会の重要なインフラが悪意のある人たちの攻撃を許してしまったらどうなるのか。「私たちの社会、生活に巨大な影響を与えることになる。しかも、これまでは単独のシステムだったものが、IoTが普及していくことでさまざまなモノがつながっていく」とゴンドロム氏。
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渡黒 亮(編集部)(ワタグロ リョウ)
翔泳社 EnterpriseZine(Security Online/DB Online/Operation Online) 編集長大学院を卒業後(社会学修士、中学・高校教諭専修免許状取得)、デジタルマーケティング企業にてデータアナリストとしてCRM分析・コンサルティング業務に従事。2007年4月翔...
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