BDAの成熟度を高めるプロセスを判断するための指標が求められている
コグニティブ/AIシステムやIoTを活用した企業のデジタルトランスフォーメーションの基盤として、BDAの活用に対する一層の注目が集まる一方で、そのパフォーマンスに対する過剰な言説もあふれており、企業のマネジメント層にはBDAの成熟度を高めるプロセスを客観的に判断するための指標が求められている。
IDCではこのような課題に応えるため国内のビッグデータ/アナリティクス市場の成熟度について、意思統一、データ、技術、人員、プロセスの5つの側面から調査した。2016年2月の第1回調査に続いて行われた本調査(2017年5月実施)では、従業員500人以上のBDAを推進する大規模企業に所属しており、企業のBDAの方針決定に影響力を持つ200人に対してWebアンケートを実施し、これらを総合して国内企業のBDAへの取り組みに関する成熟度を分析している。
成熟度の評価は、IDC MaturiyScape に基づいて行った。IDC MaturiyScapeとは、IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法。特定のIT環境についてまったく導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、ステージ1(個人依存)、レベル2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)までの5段階で評価している。
53.3%が部門レベルでのビッグデータ/アナリティクスの戦略的取組みの段階に到達
その結果、国内ユーザー企業においては、ステージ1の成熟度を持つ企業が1.4%、ステージ2が33.1%、ステージ3が53.3%、ステージ4が11.3%、ステージ5が0.8%であることがわかった。
国内ユーザー企業の半数が、ステージ2の限定的導入の成熟度にとどまっていた前回調査から成熟度の向上が見られた一方で、ステージ4の「定量的管理」、ステージ5の「継続的革新」の段階にある企業は合計して12.1%と、前回の12.9%と同水準にあり向上が見られなかった。
ステージ2と3に80%以上の企業が集中しているのが国内ビッグデータアナリティクス成熟度の分布上の特徴だ。これは、国内ユーザー企業のBDA活用が部門/部署レベルにとどまっており、全社横断的な活用に至っていないことを示している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの草地慎太郎氏は「BDA活用を大きなビジネス価値につなげるために、企業としてのゴールを明確化した上で全社に影響を持つことの出来るCDO(Chief Digital Officer)を任命し、全社的なBDA活用を推進するべきである」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「IDC MaturityScape Benchmark:国内ビッグデータ/アナリティクス市場 2017」に掲載されている。