
DXやデジタル化の加速にともない、IT人材の育成が急務となっています。経済産業省によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するとの試算結果も(2019年)。不足するIT人材の担い手として、地方在住の女性たちへのリスキリングプロジェクトが立ち上がりました。今回は、同プロジェクトの成果発表会の模様を紹介します。
MAIA、グラミン日本、SAPジャパンの3者は2022年5月15日、「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」を設立。同コンソーシアムでは、女性の精神的・経済的自立を支援するため、人材募集からデジタル教育、就労支援までを一気通貫で行うものです。
大まかな流れは次の通り。まず、全国の自治体やシングルマザー支援団体と協力し、希望者を募ります。選考を突破した方は、MAIAが提供するコミュニティ型の学習に参加。e-learningの受講を中心にしつつも、オンライン上で受講者同士がつながり、サポートし合える環境です。資格に合格した方はキャリアカウンセリングを受け、順次案件に参画していきます。

この中で、SAPジャパンは特に就労機会の創出に取り組んでいます。国内IT産業においてSAP関連のビジネス規模は約1割ほどで、年間市場規模は1兆円以上。400社以上のパートナー企業を抱える同社は、雇用機会を創出すべくエコシステムの構築や、ニーズの高い業務領域を把握する役割を担っています。既にいくつかの企業はこのコンソーシアムに賛同し、人材の受け入れもしているそうです。

2022年10月に行われた、コンソーシアムの成果発表会では、実際に受講した方も登壇しました。一人は沖縄県在住のシングルマザーの方。役所でこのプロジェクトのことを知ったそうですが、その当時はパソコンの電源すら分からないほどだったと言います。「何度も挫折した」そうですが、同じコミュニティの“仲間”と支えながら完了できたと語りました。もう一人は、夫の海外赴任に同行している方。専業主婦として、育児や趣味、稽古事がメインの生活から、リモートで仕事するようになり「メリハリが生まれ、自信がついた」と話しました。
今後、コンソーシアムの取り組みを全国に拡大していくと言います。リスキリングプログラム修了者を対象とした中間就労または直雇用または業務委託をする「タレント採用パートナー」、プログラム参加者を集める「アウトリーチパートナー」を募集していくとしています。

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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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