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AIやVRがアートにも 最先端技術が並んだ文化庁メディア芸術祭

2018/07/13 06:00

第21回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展が6月13日から国立新美術館とその周辺で開催された。応募総数は4192点、海外からの応募は97の国と地域からで過去最多となった。ここではAIに絡んだ作品をピックアップする。

今年はAIとVRが盛りだくさん 最先端っぷりが半端ない

 最近ITベンダーのイベントに行くと、必ずといっていいほどAI(人工知能のほかに機械学習や深層学習も)やVR/ARが話題になる。ただしIT業界の視点だと、いかにこうした新しい技術をビジネスに取り入れて競争力を高めていくかという話になりがちだ。しかしメディア芸術祭だとあくまでアートとして評価されているため、技術は主役ではなく、技術の新しさや性能は主眼とならない。ここではIT業界で見慣れた技術がいつもとは違う形で表現されているのを目にすることができる。

 今年は受賞作品にAIとVRがあふれていた。アートの領域でこれほどAIとVRが取り入れられてきているのかと驚くほどだ。近年は比較的アナログに近い技術が目立ったせいか、ギャップが大きく見えるのかもしれない。今年のメディア芸術祭受賞作品で使われている技術の最先端ぶりは近年まれにみるレベルだ。

AIの未来が現実味あふれる描写で「AIの遺電子」

 例年だとITと関係がある受賞作品を探そうとすると、アート部門かエンターテインメント部門となる。逆にマンガ部門とアニメーション部門は素通りとなりがちだった(取材陣の多くはヒットしたマンガやアニメ作品が目当てだったりするが)。

 ところが今年はマンガ部門にAIがテーマとなる作品が受賞していた。マンガ部門 優秀賞「AIの遺電子」(山田 胡瓜 [日本])である。筆者には第一話の書き出しにある近年の技術発展に関する描写がすごく共感できて、「作者はAIはじめ最先端技術に造詣が深い人物ではないだろうか」と感じられた。それもそのはず。作者はIT系メディアで記者を経験しており、後に「バイナリ畑でつかまえて」や本作品を発表している。

 「AIの遺電子」はAIを組み込んだ人間(ヒューマノイド)が社会に浸透した時代を舞台にしたSFオムニバス作品。「バックアップ」や「インプラント」など、AIが浸透した世界で起こりそうな状況や表現がありありと描かれている。しかしこの作品の魅力は未来の技術描写のリアリティだけではなく、人工的なAIが人間らしく不完全で迷いながら生きる姿だ。作品はヒューマノイドとそれを治療する医師との関わりで描かれていく。

ゲームキャラクターの動きにAIをフル活用「人喰いの大鷲トリコ」

 AIが作品のエンジンとして稼働しているものもある。エンターテインメント部門 大賞「人喰いの大鷲トリコ」(『人喰いの大鷲トリコ』開発チーム 代表:上田文人[日本])はプレイステーション用のアドベンチャーゲーム。プレイヤーが操作するキャラクターの動きに応じてトリコが反応する。このトリコの描写にAIがふんだんに活用されている。

第21回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門大賞 『人喰いの大鷲トリコ』 
『人喰いの大鷲トリコ』開発チーム(代表:上田 文人)

© 2016 Sony Interactive Entertainment Inc.

 トリコはプレイヤーにとってコミュニケーションする相手であり、パートナーのような存在だ。シューティングゲームのように「弾を何発撃ち込めばやっつけられる」というような敵ではない。プレイヤーのパートナーとして親近感がわくように、表情やしぐさには感情も含め違和感なく描写される必要がある。

 トリコのAIは周囲の空間、プレイヤーが操作するキャラクターの動き、好物の位置などの情報を認識し、自らの感情や行動を決めていく。AIを導入することで、状況に応じた複雑な反応や描写が可能になったようだ。処理はプレイステーション内で行う。

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