データ駆動型ビジネスの転換は、多くの企業にとって喫緊の課題だ。保有/収集しているデータを活用し、ビジネスの効率化や新たな価値を顧客に提供できなければ、競争力を失ってしまう。1976年の創業の以来、一貫して統計解析/ビジネスインテリジェンス(BI)のソリューションを提供している米SAS Instituteは、「分析の民主化」を掲げ、日常業務での分析の必要性を訴えている。日本はデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れやデータサイエンティストの不足など、ビジネスのデジタル化実現に様々な課題を抱えている。そのような状況下、SASはどのような戦略で「分析の民主化」を浸透させるのか。2019年4月28日から5月1日の日程で開催された年次プライベートイベント「SAS Global Forum 2019」(米テキサス州ダラス)の会場で、SAS Institute Japan 代表取締役社長の堀田徹哉氏に、話を訊いた。
「SAS Viyaファースト」で幅広く訴求

堀田徹哉氏
―― 2015年10月の社長就任以来、SAS日本法人は増収増益です。2018年における「SAS Viya」の売上は、前年比700%の成長でした。その要因は何だと分析しますか。
堀田氏 日本法人だけでなく、グローバルで見てもSASのビジネスは好調です。その要因は、SASが提供する機能や拡張性、可能性に対し、お客様が価値を見出していることだと考えます。
また、新たな提案をする際には「SAS Viyaファースト」を徹底しています。SAS Viyaは、分析と人工知能(AI)の活用に必要な機能を包括的に提供する、オープンなプラットフォームです。パブリッククラウドだけでなく、オンプレミスやプライベートクラウドなど、お客様の環境に合わせて構築可能です。当然、AWS上で構築したいというニーズもありますが、オンプレミス環境―お客様のデータセンターやクラウド―での運用が多いですね。業種、業界を問わず、導入を頂いています。
―― 日本市場での独自戦略はあるのでしょうか。
堀田氏 戦略と言うほどではありませんが、インダストリーの成功事例を水平展開し、サブインダストリーへの普及を実践していきます。また、SASのビジネスユニットであるJMPのユーザーを拡大していくことも戦略の1つです。つまり、デスクトップ環境で活用されているJMPのユーザーに対し、より大きな分析プラットフォームで本格的にデータ分析や活用に取り組んでもらう戦略ですね。その先には、例えば、現場の製造装置に分析機能を組み込んで、自動制御していくというフェーズがある。ですから、JMPユーザーがいるところには、JMPを入り口として、ポテンシャルがあると考えています。
―― 特定業種に特化したアプローチはしていますか。例えば、製造業などはいかがでしょう。
堀田氏 日本の製造業はマーケットサイズが大きいので、これからもSAS導入のポテンシャルはあるでしょう。
日本の製造業のお客様に対しては、SASが直接やり取りをしています。例えば、ブリヂストン様は、同社の製造機械(システム)にSASの分析機能を組み込み、自動制御をする環境を構築されています。お客様の環境に直接組み込むといった取り組みは、以前から注力しています。
日本の製造業は、品質管理を徹底しています。専門の分析担当者を配して自動化をするといった取り組みは、今後も広がるでしょう。そのような状況でSASのソリューションを導入して頂けるよう展開していきます。
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鈴木恭子(スズキキョウコ)
ITジャーナリスト。
週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社しWindows Server World、Computerworldを担当。2013年6月にITジャーナリストとして独立した。主な専門分野はIoTとセキュリティ。当面の目標はOWSイベントで泳ぐこと。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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