
企業のデジタル化が進む中、改めてデータ活用の仕組みを導入する動きが活発化している。とはいえそのためのアプローチは企業や組織ごとにさまざま、唯一の正解があるわけではない。かつては、大量データの分析環境をクラウド上に構築するのは得策でないと思われていた。しかしながらここ最近は、これまでオンプレミスで動かしていたデータウェアハウスなどをクラウドに移行する事例も出てきている。
保守更新のタイミングでデータ分析の環境をオンプレミスからクラウドへ
株式会社ゲオホールディングス(以下ゲオ)は、25年前に小さなレンタルビデオ店からスタートした。今では、全国に1,800を超える店舗ネットワークを構築するに至っている。現在ゲオではDVD、CD、ゲーム等のパッケージ商品のレンタル、中古買取・販売、新品販売を行う複合メディアショップ「ゲオ」の運営を中核に、総合リユースショップ「セカンドストリート」を運営するリユース事業、総合アミューズメント店舗の運営、さらにGEO Onlineなどのオンラインサービスも展開している。
ゲオの強みの一つは、多店舗展開のオペレーションコストを安くする運営ノウハウがあること。引き続き効率的な店舗運営をするのはもちろん、多様化しているビジネスにおいても効率化を目指す必要があった。そのためには勘や経験に頼るのではなく、データを活用した判断が重要になる。そこでゲオでは、データ活用のための環境として2011年にOracle Exadataを導入した。
「データはかなり集まっていたのですが、それを十分に有効活用できる基盤になっていませんでした」と語るのは、ゲオホールディングス 分析部 データ課 データマネジメント ITアーキテクトの吉村公胤氏だ。と言うのも、Oracle Exadataの環境はゲオにとって重要なPOSデータなどを集め利用するための基幹システムの一つとして導入されたものだった。

この仕組みは基幹システムなので、災害対策構成をとっていた。Oracle Active Data Guardを用いリモート環境にもOracle Exadataを設置しDR(Disaster Recovery:災害対策)サイトを構築した。災害時以外はDRサイトのOracle Exadataのリソースには余裕がある。そこでそれを分析用に流用するものだったのだ。流用ではあるものの、ゲオではこのOracle Exadataの仕組みを順調に利用する。3年ほど利用した頃になり、5年目に訪れる保守契約更新をどうするかの検討を始める。
「Oracle Exadataは、性能的に不満はありませんでした。とはいえ、データ容量は逼迫することが予測され、大きな投資がいるのでオンプレミスでは簡単には容量を増やせない課題もありました」(吉村氏)
さらに、Oracle Exadataを運用するためのスキルの高いエンジニアを、社内で確保しておくのも課題だった。「手間とコストをあまりかけずに、必要なデータ分析の性能を得たい。その解決にクラウドが活用できないかを考えました」(吉村氏)。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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