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オープンクラウドの基礎知識[3] 加熱するオープンソースの“クラウドOS”覇権争い

  2013/02/21 07:00

前回、Amazon Web Services(AWS)が市場をリードしクラウドエコシステムを形成している内容について解説した。AWSは2006年3月に仮想サーバーの「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」、2006年12月にクラウドストレージの「Amazon S3(Simple Storage Service)」をリリースし、現在もさまざまなサービスを拡充し、圧倒的なスケーラビリティにより、市場の拡大を図っている。こうしたAWSの独自のクラウドエコシステムを形成する動きに対して、オープンソースを採用しオープンなクラウド環境を構築し、エコシステムを形成する動きも活発化している。

オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア(クラウドOS)の台頭

 AWSの独自のクラウドエコシステムを形成する動きに対して、オープンソースを採用しオープンなクラウド環境を構築し、エコシステムを形成する動きも活発化している。

 2007年、米国カルフォルニア大学サンタバーバラ校でAWSのEC2と同程度のクラウド環境を大学内でも構築することを目的とした研究プロジェクトとして、EC2 APIと互換性のあるソフトウェア「Eucalyptus」が登場。これを機に、「OpenStack」や「CloudStack」、「CloudForms」「OpenQRM」「Abiquo」など多くのオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアが登場した。日本国内では2009年4月にあくしゅが開発した日本初のプロジェクト「Wakame-vdc」などがある。

 クラウド基盤ソフトウェアは、サーバー、ストレージ、ネットワークなどを統合的に管理し、ユーザーの要求に応じてオンデマンドで指定されたスペックの仮想マシンやストレージの環境を構築できセルフポータルサービス機能を持つソフトウェアである。XenServerやKVM、VMware vSphereなどの複数のハイパーバイザーに対応し、IaaSレイヤーのクラウド環境を構築する。クラウド基盤ソフトウェアは、CMS(クラウドマネジメントシステム)やクラウドOSとも呼ばれる。

 クラウド基盤ソフトウェアが注目され背景の一つには、パブリッククラウドにおけるビジネスや技術の進展の速さが挙げられ、サービス事業者やSIベンダが一から独自のクラウド管理ツールを開発していては、AWSをはじめとしたグローバルなクラウド市場のスピードに追いつき競争優位に立つことが難しい状況となっているためだ。 オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを採用することで、クラウドに必要な機能を短期間で実装し、オープンソースであるがゆえにサードパーティーとのサービス連携を容易にし、さらに、オープンソースであることを活かし、独自のカスタマイズやサービスの拡充することで他社との差別化を図り、ユーザーニーズにあわせたクラウド環境を低コストかつ迅速な提供が可能となる。

 オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアは、パブリッククラウドだけではなく、プライベートクラウドにも採用が広がりを見せている。企業では、パブリッククラウドと同じようなセルフサービスをオンデマンドで利用する環境を自社内で構築するプライベートクラウドを構築するニーズも高く、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを採用することで、セルフサービスをオンデマンドで利用でき、さらに自社によるセキュリティ強化やカスタマイズも容易になり、自社のセキュリティポリシーにあわせたクラウド環境を低価格で構築することができる。

 IT市場においてはSIビジネスの市場規模が縮小傾向にあり、大手SIベンダなどは従来のSIビジネスだけではなく、オープンソースソフトウェアの中でも品質や注目度の高いものについては、システムの構築から運用保守まで、ソリューションやサポートサービスを提供する傾向にある。オープンソースクラウド基盤ソフトウェアの機能充実や品質向上に加えて、ソリューションやサポートサービスの充実により、ユーザーもより安心して利用できるようになってきており、クラウド管理ソフトウェアの採用増加につながっていると考えられる。

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著者プロフィール

  • 林 雅之(ハヤシ マサユキ)

    国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュケーションズ株式会社勤務) 1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営を担当。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発など...

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