クラウドコンピューティングの普及により、データセンターの需要は拡大し、世界各地で規模の経済(スケールメリット)を生かしたデータセンターの大規模化が加速化する傾向にあり、データセンターのオープン化となる「Open Compute Project」への注目が集まっている。
「Open Compute Project Foundation」の発足
「Open Compute Project」は2011年10月27日、「Open Compute Project」を推進するための非営利組織「Open Compute Project Foundation」を発足した。「Open Compute Project Foundation」の公式メンバーにはFacebookのほか、米Intel、台湾ASUSTeK Computer(ASUS)、米Dell、中国Huawei Technologies(華為技術)、米Red Hat、米Cloudera、中国Baidu(百度)、米Mozilla、米Rackspace Hosting、米Netflix、米Goldman Sachs、NTTデータなどが参加している。
「Open Compute Project Foundation」の活動は、Facebookの設計図などをオープンソース化して公開するだけでなく、大規模データセンター事業者やサービス事業者、ハードウェアメーカーなどが集まり、データセンターに最適なハードウェア仕様を協議し、実際の普及を推進する団体として取り組みが進んでいる。
「OCPソリューション・プロバイダー・プログラム」でハードウェアの調達構造が変化
「Open Compute Project Foundation」は2012年5月2~3日、米テキサス州サンアントニオで「Open Compute Summit」を開催した。本Summitでは、ストレージやマザーボードに関する新施策や、ラック設計の「Open Rack」に関する詳細や各社の「Open Rack」への対応などが公表されている。
「Open Compute Project」仕様のサーバーをデータセンター事業者に納入する「OCPソリューション・プロバイダー・プログラム」では、「Open Compute Project」仕様のサーバーなどを製造する企業を「Open Compute Project」が斡旋するという取り組みとなる。
このプログラムの中心に参加しているのが、台湾のクアンタ・コンピュータ(Quanta)やウィストロン(Wistron)などのODM(相手先ブランドによる設計製造)事業者だ。ODM事業者は、本プログラムに参加することよって、データセンター事業者から直接サーバーの製造などを請け負うことができるようになる。
このプログラムによって、大手ベンダーを介すことなくビジネスができるようになり、これまでのサーバーなどのハードウェア調達のサプライチェーンの構造が大きく変わる可能性がある。
この記事は参考になりましたか?
- オープンクラウドの基礎知識連載記事一覧
-
- オープンクラウドの基礎知識[7]ベンダー各社が急ぐ「オープンクラウドエコシステム」の強化
- オープンクラウドの基礎知識[6]日本国内でも広がるデータセンターのオープン化「Open C...
- オープンクラウドの基礎知識[5]SDN/OpenFlowがもたらす業界構造の変化
- この記事の著者
-
林 雅之(ハヤシ マサユキ)
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュケーションズ株式会社勤務)1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営を担当。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア